損害賠償請求事件(甲事件)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「買物決済システム」に関する特許権(特許第6784787号)を有する原告が、ディスカウントストア「トライアル」を運営する被告ら5社に対し、被告店舗で使用されるショッピングカート「Skip Cart」とスマートフォンアプリ「SU-PAY」を組み合わせたセルフ決済システム(被告製品)が原告の特許権を侵害するとして、連帯して約22億9253万円の損害賠償を求めた事案である。原告の特許発明は、買物アプリと連携する管理サーバ、買物かご内の商品を撮像するカメラ、及び顧客端末を備え、カメラの撮像情報から商品を識別して決済を行うシステムに関するものである。 【争点】 主な争点は、①被告製品が本件特許の構成要件を充足するか(文言侵害)、②構成要件と異なる部分について均等侵害が成立するか、③本件特許に無効理由があるか、④損害額である。特に、被告製品がバーコードスキャナーで商品を識別する点が特許発明の「カメラ」による撮像に該当するか(構成要件B)、顧客端末と店舗端末の役割の違い(構成要件D・F・G)、及び「カメラ」を「バーコードスキャナー」に置き換えた構成での均等侵害の成否が中心的に争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、被告製品は少なくとも構成要件B・D・F・Gを充足しないと判断した。構成要件Bについて、本件発明の「カメラ」は光学系を用いて被写体の映像を撮影素子上に結ばせる装置をいうところ、バーコードスキャナーはバーコードに化体した「情報」を取得するものであって「画像」を取得(撮像)するものではないから該当しないとした。構成要件Dについて、被告アプリのバーコードは顧客識別情報にすぎず「アプリケーションのID」には当たらないとした。構成要件F・Gについて、被告製品の異常検知は重量センサーによるものであり撮像情報からの商品識別によるものではないこと、決済は店舗係員の操作により完了するものであることから非充足とした。均等侵害についても、「カメラ」は本件発明の本質的部分であり「バーコードスキャナー」への置換は第1要件を満たさないとし、「顧客端末」から「店舗端末」への置換も第2・第3要件を欠くとして、いずれも成立を否定した。