麻薬及び向精神薬取締法違反幇助、麻薬及び向精神薬取締法違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、自らが運営するインターネットサイトを通じ、麻薬であるDMT(ジメチルトリプタミン)を含有する未指定植物(植物甲・植物乙)を原料とする「Medi-Tea」(メディティー)や植物甲の木片を販売していた。被告人は、顧客Aがメディティーから生成した水溶液(本件湯茶)を用いて麻薬を製造・施用することを認識しながら、同商品を製造方法記載の書面と共に発送して幇助した(第1)。同様に顧客B・C・Dに対しメディティーを発送し、麻薬製造に要する原材料を情を知って提供した(第2〜第4)。被告人自身もDMT含有水溶液を飲用して麻薬を施用し(第5)、顧客Fに植物甲の木片を販売して麻薬製造を幇助し(第6)、さらにDMT含有水溶液約858gを所持した(第7)。弁護人は、本件湯茶は未指定植物の一部にすぎず麻薬に該当しない、宗教的行為として正当行為に当たる等と主張したが、原審はいずれも排斥し、被告人を懲役3年・執行猶予5年に処した。 【判旨(量刑)】 大阪高裁は控訴を棄却した。原判決がDMT含有水溶液の麻薬該当性を認めた判断はおおむね正当とした。ただし、原判決が麻向法の製造・施用・所持の該当性判断に「麻薬の濫用による保健衛生上の危害の生じるおそれ」という独自の要件を付加した点は、同法の解釈適用を誤った不合理なものと判断した。もっとも、麻向法は「みだりに」製造・所持した場合を処罰対象としており、社会通念上正当な理由の有無で判断すれば足りるとし、DMTの薬理効果に着目してメディティー等を販売・使用した被告人らの行為に正当な理由は認められないとした。当審で実施した定量鑑定により、本件湯茶のDMT濃度(最低220μg/mL)は薬理作用を生じさせるのに十分な量であることも確認された。被告人の違法性の意識についても、弁護士から適法性不明との回答を受けながら販売を継続しており、違法性の意識は十分にあったと認定した。結論として、原判決の法令適用の一部の誤りは判決に影響せず、懲役3年・執行猶予5年の原判決を維持した。
裁判要旨
麻薬原料植物以外の植物の含有する、麻薬及び向精神薬取締法(令和5年法律第84号による改正前のもの)2条1項1号が麻薬と定めるDMTが水和した水溶液は、植物と形態を異にする独立した物質とみるべきであり、同号の「麻薬」に当たる。