AI概要
【事案の概要】 被告人(当時88歳)は、令和6年3月13日午後10時22分頃、酒気を帯びた状態(血中アルコール濃度:血液1ml当たり0.62mg)で、妻(当時82歳)を勤務先に送迎するため軽乗用車を運転した(道路交通法違反)。神戸市内の東西道路から発進した際、アクセルペダルを不用意に強く踏み込み、時速約65キロメートルまで加速させて車両を制御困難に陥らせ、前方約200メートル先の交差点を超えて歩行者専用道路(商店街)に進入し、約300メートルにわたり相当速度で走行した。その間、対向してきた普通貨物自動車に衝突してその運転者に加療約14日間の脳挫傷等の傷害を負わせたほか、同乗していた妻に下大静脈損傷の傷害を負わせ、出血性ショックにより死亡させた(過失運転致死傷)。 【判旨(量刑)】 裁判所は、酒気帯び運転について、運転の必要性・緊急性はなく経緯に酌むべきものはないとし、血中アルコール濃度の高さから運転態様は危険であったと評価した。過失運転致死傷については、アクセル操作・速度調節等の基本的かつ重要な注意義務を怠り、商店街の歩行者専用道路を相当速度で約300メートル走行させた走行態様は相当危険であり、過失は重大であるとした。死亡者1名・負傷者1名という結果も重大であるが、死亡被害者である妻は被告人の飲酒運転を認識していた可能性が否定できず一定の落ち度がある余地があること、負傷被害者も歩行者専用道路で通行許可等を受けずに車両を運転していたことが事故の一因となった面があることを指摘した。一般情状として、遺族である被告人の長女・次女がいずれも被告人を宥恕し損害賠償請求権を放棄する意向を示していること、任意保険による相当額の賠償が見込まれること、前科がないこと、88歳と高齢であること等を考慮し、刑の執行を猶予するのが相当とした。ただし事案の重大性に照らし、懲役3年・執行猶予5年(いずれも法定上限)を言い渡した(求刑:懲役4年)。