AI概要
【事案の概要】 被告人は、自宅隣のC方との約1年間にわたる近隣トラブルを背景に、Cの夫と認識していた被害者に対し、令和6年のある夜、住宅街の路上で背後から左胸背部を刃物で1回突き刺して殺害したとして、殺人罪で起訴された。被告人は犯人性を否認し、原審(第一審)は間接事実の積み上げにより有罪と認定した。弁護人は、訴訟手続の法令違反(審理不尽)及び事実誤認を理由に控訴した。控訴審の主な争点は、①被告人方近くの袋小路に設置されたセンサーライトの2回の点灯が犯人の通過によるものか、②ドライブレコーダーに映った人定不詳者らと犯人が同一人物であり、かつ被告人であるか、③隣人トラブルが殺人の動機たり得るか、であった。 【判旨(量刑)】 大阪高裁は控訴を棄却した。まず、訴訟手続の法令違反の主張については、具体的な証拠調べの不備の指摘がなく、実質は事実誤認の主張であるとして排斥した。事実誤認の主張については、原判決の間接事実による認定を詳細に検討した。センサーライトの点灯①②と、B方ドライブレコーダーに映った影①③の出現との時間的連動(約24〜26秒)が、通常歩行速度での到達時間(25〜30秒)とおおむね合致すること、4回の実況見分で小動物による誤作動が確認されなかったことから、点灯①②が犯人の通過によるものであると強く推認されるとした。犯人がセンサーライト前を駆け足で通過すれば点灯しないことがあるとの実験結果を踏まえ、犯行前後に対応する点灯がないことも推認を妨げないとした。さらに、犯人は住宅街の住民とみるのが自然であること、犯人と被告人の身体的特徴の類似、被告人以外に犯人と整合する住民が見当たらないこと、約1年にわたる隣人トラブルによる動機の存在を総合し、被告人が犯人であるとの原審認定を是認した。弁護人が主張する消極的間接事実(犯行後の平然とした態度、凶器未発見、外部犯人の可能性等)はいずれも推認を覆すに足りないとして、未決勾留日数280日を算入の上、原判決の刑を維持した。