職務発明対価請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、ソニーグループ株式会社(被控訴人)の元従業員である控訴人が、DVDビデオ規格に関する職務発明(日本特許8件・米国特許10件)について共同発明者の一人として特許を受ける権利を被控訴人に承継させたことにつき、旧特許法35条3項・4項に基づく相当の対価の一部請求として5億円等の支払を求めた事案の控訴審である。原審(東京地裁)は、実施が認められる特許についての独占の利益を算定したものの、使用者貢献度95%等を考慮すると既払の実施報奨金により対価請求権は消滅したとして請求を棄却した。控訴人は敗訴部分のうち7000万円の支払を求めて控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)DVDビデオ規格の規格必須特許リスト(本件リスト)に掲載された特許について、独占の利益の算定にあたりリスト掲載に加え現実の実施(事後的な充足性評価)が必要か、(2)規格団体(3C・One-Red)の分配金、被控訴人の単独ライセンス料、包括クロスライセンスの対応利益の各算定方法、(3)使用者貢献度、(4)共同発明者間の貢献度である。被控訴人は、リスト掲載特許であっても現実に実施されなければ独占の利益は生じないと主張し、控訴人はリスト掲載をもって足りると主張した。 【判旨】 知財高裁は原判決を変更し、3378万9124円及び遅延損害金の支払を命じた。争点(1)につき、本件リスト掲載特許は外部弁護士による専門家鑑定を経て規格必須と評価され、現にライセンス料の支払対象となっていたのであるから、結果的に全部又は一部が現実に実施されなかったとしても独占の利益が発生しなかったとはいえないと判示した。各特許の技術的価値は同等と評価するのが相当とし、現実の実施の有無は使用者貢献度の考慮要素にとどまるとした。独占の利益は、分配金・単独ライセンス料についてはリスト掲載特許数で均等割付けし、包括クロスライセンスについては仮想積上げ方式を採用しつつ×0.5の減額補正を行った。使用者貢献度は原審の95%から98%に引き上げ、共同発明者間貢献度は50%を維持した。