道路交通法違反、過失運転致死(過失運転致死につき変更後の訴因 危険運転致死、予備的訴因 過失運転致死)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人(当時18歳)は、令和6年9月29日午前5時43分頃、酒気帯び状態で埼玉県川口市内の狭隘な一方通行路(制限速度時速30km)を普通乗用自動車で逆走した。被告人は何らの必要性や緊急性もなく加速を続け、幅約2.65〜2.8mの道路を時速約125kmという制限速度を90km以上超過する速度で走行し、優先道路と交差する交差点に進入した。折から同優先道路を時速約43kmで右方から進行してきた被害者(51歳)の車両左側面部に自車前部を衝突させ、被害者車両を路外に逸脱させて建物等に衝突させた。被害者は外傷性大動脈解離の傷害を負い、約1時間後に死亡した。検察官は通行妨害目的での危険運転致死(2条4号)も主張したが、被告人が交差点の存在や被害者車両の接近を認識していなかったことに争いはなく、裁判所は進行制御困難な高速度による危険運転致死罪(2条2号)の成立を認定した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人の運転が交通ルールを意に介さない無謀なものであると断じた。被告人は一方通行道路に進入したため焦って出口に到達しようと加速した旨供述したが、進入前から加速を開始していたことや、進入後も被告人・同乗者に動揺の反応がなかったことから供述は信用し難いとした。被害者にとって逆走車両を予見し警戒することは不可能であり、落ち度のない被害者の生命が奪われたことは理不尽であるとして、刑事責任は誠に重大であると判示した。保険による相応の賠償が確実であること、被告人が反省を深めていることは認めつつも、故意の危険運転行為により被害者を死亡させた事案について保護処分を相当とする理由はないとし、求刑どおり懲役9年を言い渡した。弁護人は家庭裁判所への移送を求めたが、認められなかった。