特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和7(ネ)10042
- 事件名
- 特許権侵害差止等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2025年9月25日
- 裁判官
- 菊池絵理
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
- 原審事件番号
- 令和5(ワ)70449
AI概要
【事案の概要】 本件は、締結金物に関する特許(特許第5634732号)を有する控訴人X及び同特許の独占的通常実施権者である控訴人株式会社ストローグが、被控訴人株式会社タツミに対し、被控訴人製品が本件発明の技術的範囲に属すると主張して、特許法100条1項・2項に基づく製造販売の差止め・廃棄等と、不法行為に基づく損害賠償金約456万円の支払を求めた事案の控訴審である。原審は、本件発明は先行発明(甲5発明)と実質的に同一の構成を備え新規性を欠くとして請求を棄却し、控訴人らが控訴した。 【争点】 主たる争点は、甲5発明に基づく本件発明の新規性欠如(争点3)である。控訴人らは、(1)本件発明の「過大な荷重が作用した際に変形を誘発させる」との構成要件及び「破壊の遅延」の技術思想は、枝状部を単に除外した構成ではなく「同一位置構成」との対比を前提としており、原判決はこの前提を誤っている、(2)短期許容耐力の向上は本件発明に包摂される効果であり無関係とした原判決は誤りである、(3)訂正請求により同一位置構成との対比及び短期許容耐力向上を要件に加えた訂正発明は甲5発明に対し新規性を有する、と主張した。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。まず、原判決の「枝状部の構成を備えない従来の締結金物」との表現は、本件明細書に記載された同一位置構成の従来品の趣旨であり、原判決に前提の誤りはないとした。短期許容耐力の向上については、本件発明の構成要件に含まれておらず、明細書上も「枝状部の構成」以上の具体的設計条件は開示されていないから、枝状部の構成による効果の一つにとどまると判断した。訂正の対抗主張についても、訂正請求で追加された文言は同一位置構成との比較や破壊遅延・短期許容耐力向上という作用効果を述べるにすぎず、枝状部の構成を超えて発明の構成を限定するものではないとして、訂正後も甲5発明と実質的に同一であると認定し、原判決を維持した。