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【事案の概要】 原告(ドイツのフェンシング用品メーカー「アルスター・フェヒト-センター」社)は、赤色の「allstar」の欧文字とフェンシングの剣の鍔・柄を模した図形部分からなる本願商標について、第8類・第25類・第27類・第28類のフェンシング関連商品を指定商品として国際商標登録出願をした。特許庁は、本願商標が既登録の引用商標「All Star」(第28類・運動用具)と類似し商標法4条1項11号に該当するとして拒絶査定をし、不服審判請求も請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めた。 【争点】 本願商標が引用商標と類似する商標といえるか(商標法4条1項11号該当性)。具体的には、(1)本願商標の文字部分と図形部分を分離観察できるか、(2)外観・称呼・観念の各要素における類否、(3)取引の実情を踏まえた総合的判断として出所の誤認混同のおそれがあるかが争われた。原告は、図形部分と文字部分がフェンシングの剣を模した不可分一体のデザインであり分離観察は不当であること、フェンシング業界では「アルスター」の称呼が定着しており「オールスター」とは呼ばれないこと、外観も字体・色彩・スペースの有無等で顕著に異なることを主張した。被告は、図形部分と文字部分は視覚上分離可能であり、文字部分「allstar」から「オールスター」の称呼が生じ引用商標と類似すると反論した。 【判旨】 請求認容(審決取消し)。裁判所は、まず分離観察について、本願図形部分は文字部分の左端に配置され最初に目につく特徴的部分であり、白抜き横線と一体となってフェンシングの剣を模すデザインの一部を構成しているから、文字部分だけが出所識別標識として特に強く支配的な印象を与えるとはいえず、分離観察は相当でないとした。外観については、フェンシングの剣を模した図形の有無、スペースの有無、全小文字か頭文字大文字か、ポップ体風か筆記体風か、ふりがなの有無等で顕著な差異があり、類似しないことは明らかとした。称呼については、フェンシング関係者間で「アルスター」が相当程度定着しているものの、「オールスター」の称呼も否定できず、この点では引用商標と類似し得るとした。観念については、本願商標全体から「フェンシングのオールスターの」という観念が生じ、引用商標の「オールスターの」とはすべてを共通にしないとした。総合的に考察すると、称呼において類似する面はあるが、外観が大きく異なり、観念もすべてを共通にせず、取引の実情として商品に付された商標の外観が出所識別に重要な役割を果たしていることから、出所の誤認混同のおそれはなく、本願商標は引用商標に類似しないと判断し、審決を取り消した。