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【事案の概要】 令和2年7月30日、福島県郡山市内の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜郡山新さくら通り店」の建物で大規模なLPガス爆発事故が発生し、改修工事の現場管理者1名が死亡したほか、半径約700mにわたる物的被害が生じた。損害保険会社である原告は、爆風・飛散物で損傷した近隣駐車車両の所有者に車両保険金等138万8200円を支払い、保険代位により取得した損害賠償請求権に基づき、飲食店運営会社(被告高島屋商店)、フランチャイザー(被告レインズ)、改修工事請負会社(被告小西造型)、LPガス販売事業者(被告伊東石油)、保安機関(被告保安管理センター)、建物所有者(被告芙蓉総合リース)の6被告に対し連帯支払を求めた事案である。 【争点】 (1)被告高島屋商店の土地工作物占有者責任・不法行為責任の有無、(2)被告伊東石油の土地工作物占有者責任等の有無、(3)被告小西造型の使用者責任の有無(従業員Bが異臭の報告を受けながらガス漏れを確認せず電気機器を操作した過失)、(4)被告保安管理センターの使用者責任の有無(定期点検調査での腐食見落としの過失)、(5)被告レインズのフランチャイザーとしての使用者責任の有無、(6)被告芙蓉総合リースの土地工作物所有者責任の有無、(7)損害額及び保険代位の成否。 【判旨】 裁判所は、厨房内のガス管(白管)がコンクリート床上に直置きされ、日常清掃で水が掛かり水切りもされない環境に約14年間置かれた結果、著しい腐食・減肉が進行し、事故前日に腐食箇所に亀裂又は穴が生じてLPガスが漏出したと認定した。被告高島屋商店については、金属配管が水で錆びることは専門知識がなくても認識可能であり、腐食状態は目視で容易に確認できたとして、占有者としての免責(民法717条1項ただし書)を否定した。被告伊東石油については、ガス設備を自ら設置・所有し、販売事業者として保安業務の責務を負う立場から占有者に該当するとし、委託先の点検が不十分であった以上、免責を認めなかった。被告小西造型については、従業員Bが前日に異臭の報告を受けながらガス漏れの確認を怠り、当日電気機器のスイッチを入れて通電引火させた過失を認め、使用者責任を肯定した。被告保安管理センターについては、令和元年12月の定期点検で著しい腐食を見落とし「良」と判定した過失を認めた。他方、被告レインズについてはフランチャイザーにすぎずガス設備管理への具体的指揮監督がないとして使用者責任を否定し、被告芙蓉総合リースについてはガス管の所有者ではなく占有者の免責も認められないとして請求を棄却した。結論として、被告高島屋商店・伊東石油・小西造型・保安管理センターの4者に138万8200円及び遅延損害金の連帯支払を命じた。