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【事案の概要】 静岡県警察に所属し警部の階級にあった原告が、うつ病による2度の休職処分を経て職場復帰訓練を行い、令和元年7月に警部として復職したものの、約1か月で体調不良により連続有給休暇を取得するようになった。上司である被告警察官らから複数回にわたり警部補への自主降任を勧奨され、最終的に自主降任を申し出て同年11月に警部補に降任された。原告は、被告警察官らによる自主降任の強要が違法であるとして、被告静岡県に対し国家賠償法1条1項に基づき、被告警察官4名に対し共同不法行為に基づき、慰謝料300万円の連帯支払を求めるとともに、降任命令の無効を主張して警部の階級にあることの確認を求めた。 【争点】 (1) 被告警察官らによる自主降任勧奨行為が社会通念上相当な限度を超えた違法な強要行為に当たるか。(2) 自主降任をしないことについて報告書素案等の作成を命じた本件職務命令が原告の人格権を侵害する違法な行為に当たるか。(3) 原告の自主降任の申出に重大な手続的瑕疵があり降任命令が無効といえるか。 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも棄却した。降任勧奨について、原告が警部昇任後にうつ病で4年以上の休職期間があり、職場復帰訓練中も警部としての実質的業務遂行が困難と評価される状況にあったこと、復職直後に体調不良で長期有給休暇を取得したことなどに照らし、自主降任を検討するよう働きかけることには十分な合理性があったと認定。勧奨は約半年間に5回で回数も特に多くなく、概ね平穏かつ理性的に行われており、社会通念上相当な限度を超えたものとはいえないとした。報告書作成の職務命令についても、警部として業務を継続する方針を組織内で共有するために一定の文書作成が必要であったとして違法性を否定。降任命令の効力については、原告が報告書提出後に被告警察官らからの働きかけなく週末を経て自発的に降任を申し出たこと、テレビ番組を契機に決意したと認めていること等から、自発的意思に基づくものであり重大な手続的瑕疵はないと判断した。