AI概要
【事案の概要】 被告人が、令和5年8月27日午後10時23分頃、札幌市内の最高速度40km/hと指定された右カーブの下り勾配道路において、進行を制御することが困難な時速約116ないし119km/hの高速度で普通乗用自動車を走行させ、カーブを曲がり切れずに歩道上の電柱に衝突する事故を起こした危険運転致死傷(高速度類型)の事案である。この事故により、同乗者の女性A(当時20歳)が脳挫滅により死亡し、同乗者の女性B(当時19歳)が外傷性くも膜下出血等により加療約91日間を要する傷害を負い、高次脳機能障害の後遺障害が残った。被告人は、被害女性らから先行車両を追いかけようと言われたことをきっかけに高速度運転を開始し、同女らが「楽しい」と歓声を上げたことから更に楽しませようと考えて本件運転行為に及んだものである。裁判員裁判として審理された。 【判旨(量刑)】 懲役5年(求刑:懲役6年6月)。裁判所は、本件犯行態様について、片側1車線で道幅が狭く下り勾配の道路を、四囲の状況が判断しづらい夜間に、制限速度を大幅に超えるのみならず限界旋回速度(時速約91ないし98km/h)をも優に超える高速度でカーブに突入したものであり、高速度類型の危険運転致死事案の中でも相応に危険であると評価した。被害者Aの死亡に加え、被害者Bの傷害も到底軽微とはいえないとした。同乗者である被害女性らの言動が被告人の危険運転を心理的に後押しした点は意思決定に対する非難を多少弱めるとしつつも、動機自体に酌むべき点はなく、執行猶予を付し得る極めて軽い部類には位置付けられないとした。他方、被告人が罪を認め捜査に協力したこと、二度と運転しないと誓い母親も監督を誓約していること、対人賠償無制限の任意保険による損害賠償が見込まれること、社会的制裁等も考慮し、主文の刑を量定した。