発信者情報開示命令申立てについての決定に対する異議の訴え控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和7(ネ)10028
- 事件名
- 発信者情報開示命令申立てについての決定に対する異議の訴え控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2025年10月20日
- 裁判官
- 伊藤清隆
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
- 原審事件番号
- 令和6(ワ)70312
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(株式会社EXstudio)は、氏名不詳者(本件発信者)がBitTorrentネットワークを介して被控訴人が著作権を有する動画の複製物である電子データを送信可能化し、また現実に公衆送信したことによって公衆送信権を侵害したことが明らかであるとして、情報流通プラットフォーム対処法5条1項に基づき、電気通信事業者である控訴人(KDDI株式会社)に対し発信者情報の開示を求める申立てをした。東京地裁は発信者情報の開示を命じる決定(原決定)をし、控訴人が同法14条1項に基づき原決定に対する異議の訴えを提起したが、原審が原決定を認可したため、控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 (1) 権利侵害の明白性。控訴人は、動画目録の「ハッシュ」欄記載の値が侵害動画データに係るハッシュ値であることを裏付ける客観的証拠がなく、侵害動画データが本件調査とは別の機会にダウンロードされた可能性があると主張した。また、本件通信37について発信時刻と再生試験結果報告書記載の日時との間に3秒の差異があり、書き込み遅延の具体的事実関係の主張立証がないとも主張した。(2) BitTorrentによる通信が特定電気通信に該当するか。 【判旨】 知財高裁は控訴棄却。争点1について、BitTorrentネットワークの仕組み上、本件発信者はトレントファイルを用いてネットワークに参加し、動画の複製物のピースを送信することにより、他のピアのユーザーと共同して不特定の者の求めに応じ動画全体の複製物を送信したと評価でき、公衆送信権侵害の明白性を認めた。ハッシュ値の主張については、インフォハッシュの値が一致しており、別機会にダウンロードされた可能性をうかがわせる事情はないとして排斥した。3秒の差異についても、IPアドレス・ポート番号・ピース所持数が一致し、書き込み日時が通信タイムスタンプから数秒遅れることは合理的に説明可能であるとして退けた。争点2は原判決を引用して肯定し、原決定を認可した原判決は相当であると結論づけた。