AI概要
【事案の概要】 本件は、宅配便等の輸送事業を営む会社の営業所でカスタマーサービス課に勤務していた原告(女性)が、同営業所の営業課係長であった被告(男性)から度重なるセクシャルハラスメントを受けたとして、民法709条に基づき慰謝料等554万6713円の損害賠償を求めた事案である。原告は令和3年11月頃に被告のセクハラを上司に相談し、同年12月以降に複数の医療機関でうつ病・PTSD・適応障害等と診断され、翌年から休職に至った。なお、共同被告であった会社との間では裁判上の和解(解決金70万円)が成立している。 【争点】 (1)原告に対する違法なハラスメント行為の有無、(2)原告の損害額(被告の違法行為と損害との因果関係を含む)。被告は、各発言について業務上の注意や冗談であったと主張し、原告のうつ病等の発症は業務多忙・PTA役員・親族問題等が原因であり被告の言動との因果関係がないと争った。 【判旨】 一部認容(22万円)。裁判所は、被告の行為のうち、信書便物の一方的送付、「今のかわいい」という発言、下着や体型に関する発言、日常的な「ちゃん」付け呼称の4点について、業務上の必要性がなく不快感・羞恥心を与える不適切な行為と認定した。被告が原告の上司に類する立場にあったことも踏まえ、令和3年5月頃から同年11月頃にかけて繰り返されたこれらの一連の行為は社会通念上許容される限度を超えた違法なハラスメントに当たると判断した。一方、「癒して」発言は性的事項を直ちに想起させないとして違法性を否定し、「好きだよ」等の発言は証拠不十分として認定しなかった。損害については、身体的接触がなく発言の侵害性も限定的であるとして、うつ病等発症との相当因果関係を否定し、休業損害・治療費等を認めず、慰謝料20万円及び弁護士費用2万円の合計22万円のみを認容した。