若年成人被選挙権剥奪違憲確認等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告ら(満18歳〜25歳の若年成人6名)は、令和5年4月の統一地方選挙に際し、それぞれ都道府県知事選挙、県議会議員選挙又は市議会議員選挙に立候補の届出をしたが、公職選挙法10条1項3号・4号・5号が定める被選挙権の年齢要件(都道府県知事は満30歳以上、都道府県議会・市町村議会議員は満25歳以上)を満たさないことを理由に届出が受理されなかった。原告らは、これらの年齢要件が被選挙権を剥奪するものとして違憲であると主張し、第1事件として被選挙権を行使できる地位の確認等を、第2事件として立法不作為による国家賠償(各10万円)を求めた。 【争点】 (1) 被選挙権を行使できる地位の確認の訴え及び違法確認の訴えの適法性、(2) 被選挙権の年齢要件を定める公選法の各規定が、被選挙権を侵害するものとして憲法15条等に違反するか、(3) 同規定が年齢による差別的取扱いとして憲法14条1項・44条ただし書に違反するか、(4) 治者と被治者の自同性及び普通選挙制度に違反し参政の利益を侵害するか、(5) 立法不作為の国家賠償法上の違法性。 【判旨】 請求棄却・訴え却下。裁判所は、第1事件について、被選挙権の行使は選挙長に対してなされるものであり、国を被告とする確認の訴えは紛争解決手段として必要かつ適切とはいえないとして、確認の利益を欠き不適法と判断した。本件各規定の違憲性については、被選挙権は憲法15条1項の保障する重要な権利であるが、選挙権とは異なり資格の範囲について憲法上明示的な規定がなく、年齢要件を含む選挙制度の具体的内容は国会の合理的裁量に委ねられていると判示した。その上で、地方議員・都道府県知事の職責や権限からすれば相当の知識や豊富な経験が要求され、社会経験に基づく思慮と分別に着目して被選挙権年齢を選挙権年齢より高く設定することには合理性があり、国会の裁量権の限界を超えるものではないとした。治者と被治者の自同性は選挙権年齢と被選挙権年齢の一致を原則とするものとはいえず、町村総会の住民参加権と議員の被選挙権は同列に論じられないとして、憲法15条等、14条1項及び44条ただし書のいずれにも違反しないと結論づけ、立法不作為の違法性も否定した。