保護責任者遺棄致死被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、交際相手Bの長女A(当時5歳)と同居し、BとともにAの保護責任を負っていた。被告人とBは日常的にAを虐待しており、令和5年11月頃からは、被告人が「濡らしせっかん」と称し、嫌がるAを暖房のない浴室に連れて行き、着衣のままシャワーの水をかけて濡らし、水の溜まった浴槽内に入れて長時間放置することを繰り返していた。令和6年1月7日、被告人は、Aが尿を漏らしたことを認めなかったことに腹を立て、外気温が氷点下の中、Aを浴室に連れて行き、着衣のまま水で濡らした上、水の溜まった浴槽内に入ってとどまるよう命じて置き去りにした。Aは約4時間半にわたり浴室に放置され、低体温症による急性循環不全により死亡した。被告人は公判で、Aを洗い場に立たせただけで水では濡らしていないと主張したが、共犯者Bの信用性の高い公判供述や被告人の捜査段階の検察官調書等から、犯罪事実が認定された。 【判旨(量刑)】 裁判所は、本件犯行の態様について、日常的な虐待を受け命令に逆らうことが著しく困難であった5歳児に対し、真冬の氷点下の中、暖房のない浴室で着衣のまま水に濡らし約4時間半放置したもので、陰惨かつ生命への危険性の高い悪質なものと評価した。被告人が濡らしせっかんという方法を自ら考案して繰り返し、本件当日も主要な実行行為を行い犯行を主導した点で、共犯者B(懲役9年で確定)より責任が重いとした。Aが冷たく寒い浴槽の中で繰り返し謝っても誰も助けてくれない絶望的な状況で衰弱し死亡した結果は重大であり、同種事案の中で重い部類に属すると判断した。被告人が公判でAに責任を転嫁する不合理な弁解に終始し反省の情がうかがえない点も指摘し、前科がないことを考慮しても、求刑懲役15年に対し懲役13年を言い渡した。