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【事案の概要】 原告(吉川醸造株式会社)は、被告(AFURI株式会社)が商標権を有する登録第6245408号商標「AFURI」について、指定商品中の第33類(清酒、焼酎、洋酒、果実酒等)に係る商標登録を無効とする審判を請求した。特許庁は令和7年3月14日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたため、原告がその取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。原告は、「AFURI」は神奈川県伊勢原市の大山(別名「阿夫利山」)の近郊地域を意味する「阿夫利」のローマ字表記にすぎず、商標法3条1項3号(産地等表示)、4条1項16号(品質誤認)及び同項7号(公序良俗違反)に該当すると主張した。 【争点】 主な争点は、(1)「阿夫利」の語が原告主張の「阿夫利山地域」という地域名称として一般に認識されているか、(2)本件商標を酒類に使用した場合に産地・販売地の表示と認識されるか、(3)被告の商標登録出願が社会的相当性を欠き公序良俗に反するかである。原告は、地元での「阿夫利」の広範な使用実態や日本酒における「地酒」文化を根拠に主張し、被告は、「阿夫利」は地名として辞書や地図に掲載されておらず、自社ブランドとして長年使用してきた出所識別標識であると反論した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず3条1項3号について、「阿夫利」の語は地図や辞書に地名として掲載されておらず、商工会会報や校歌等での使用例も「大山」ないし「阿夫利神社」にちなんだものと理解でき、「阿夫利山地域」を指す地名として一般に認識されているとはいえないと判断した。4条1項16号についても、本件商標が産地等を表示するものと認識されない以上、品質誤認のおそれはないとした。4条1項7号については、被告のビールや整体分野への商標出願は既存ブランド戦略の拡張と評価でき、先願主義の下で他の事業者の使用を知っていたとしても直ちに社会的相当性を欠くとはいえず、公序良俗に反するとは認められないと結論づけた。