選挙無効請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 令和7年7月20日に行われた参議院議員通常選挙(選挙区選出)について、愛知県・岐阜県・三重県の各選挙区の選挙人である原告らが、公職選挙法14条・別表第3の参議院議員定数配分規定(平成30年改正法による改正後のもの)は憲法に違反し無効であるとして、上記各選挙区における選挙の無効を求めた事案である。本件選挙当日の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は、福井県選挙区を1とした場合、最大の神奈川県選挙区で3.13倍であった。 【争点】 本件定数配分規定が憲法に違反して無効であるか否か。原告らは、(1)本件定数配分規定は人口比例選挙の要求に反し憲法98条1項により無効である、(2)令和5年大法廷判決が較差の更なる是正を求めたにもかかわらず国会が対応せず最大較差が3.13倍に拡大した、(3)投票価値の較差変更を伴う選挙区割規定の立法は憲法47条に反する、(4)非人口比例選挙が日本のGDP低下の原因であると主張した。被告らは、平成27年改正及び平成30年改正により違憲状態は解消され、本件定数配分規定の合憲性は維持されていると反論した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、投票価値の平等は選挙制度の仕組みを決定する唯一絶対の基準ではなく、国会の裁量権の行使として合理性を有する限り、投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められても憲法に違反しないとした。そして、平成27年改正により5倍前後で推移していた最大較差が3倍程度に縮小し、本件選挙での3.13倍は令和4年選挙の3.03倍より増加しているものの、3倍を大きく超える有意な拡大傾向にあるとまではいえないと認定した。立法府では合区解消と較差是正について議論が継続しているが、合区対象県での投票率低下や無効投票率増加の弊害が常態化し、国民の意見も分かれている状況にあり、広く国民の理解を得るための一定の時間を要することにはやむを得ない面があるとして、本件選挙当時の投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえないと判断した。