死体遺棄・死体遺棄幇助被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人A(死亡した妻Dの夫)、被告人B(被告人Aの長姉の元夫)、被告人C(被告人Bの長男)の3名が起訴された死体遺棄・死体遺棄幇助事件である。被告人Aの下の姉(故人)は、被告人Aの妻Dに対し頻繁に暴力をふるっていたが、介護職員に暴力が発覚することを恐れ、被告人B方で妻を引き取るよう依頼した。妻は被告人B方に引き取られ、被告人B・Cが面倒を見ていたが、令和2年9月7日頃に死亡した。被告人3名は姉とも相談し、暴行の発覚を恐れて遺体を遺棄することとし、冷凍庫に遺体を入れた。被告人Aは夫として妻の遺体を葬祭すべき義務がありながら、令和2年9月9日頃に立ち去り、令和7年4月2日までの約4年半にわたり遺体を放置して死体遺棄を行った。被告人B・Cは共謀の上、冷凍庫の電源を維持して電気料金を負担し、消臭剤を設置するなどして死体遺棄を幇助した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人3名がそれぞれ姉の意向に逆らい難い心理状態にあったことは否定できないとしつつも、他の適切な手段を選択できないほど追い込まれていたとは認められず、自己保身の思いもあって犯行を決意したと認定した。被告人Aについては、4年半以上にわたり妻の遺体を冷凍庫で凍らせた状態で放置した態様が死者に対する敬虔感情を大きく害するものであり、夫としての葬祭義務を負う立場にありながら遺体を押し付けて放置を決め込んだ意思決定は厳しい非難に値するとした。被告人B・Cについても、冷凍庫の稼働維持や消臭剤の設置、訪問者による遺体発見を妨げる行為など、幇助の程度は相応に大きいとした。もっとも、同種事案と比較して刑の執行猶予を付し得ないほどの悪質さとはいえないとし、被告人3名がいずれも事実を認め反省の言葉を述べていること、前科がないことも考慮した上で、被告人Aを懲役1年、被告人B・Cをそれぞれ懲役10月に処し、いずれも3年間の執行猶予を付した(求刑どおり)。