AI概要
【事案の概要】 令和7年7月20日施行の参議院議員通常選挙(本件選挙)について、広島県選挙区の選挙人である原告らが、公職選挙法14条1項・別表第3の議員定数配分規定(本件定数配分規定)は合理的根拠なく選挙権の価値に不平等を生じさせており憲法に違反し無効であるとして、広島県選挙区における選挙の無効を求めた事案である。本件選挙当日の選挙区間における議員1人当たりの有権者数の最大較差は、福井県選挙区を1とした場合、神奈川県選挙区で3.127倍であり、広島県選挙区は1.838倍であった。 【争点】 本件定数配分規定が憲法に違反して無効であり、これに基づいて行われた広島県選挙区における選挙が無効であるか。具体的には、(1)本件選挙当時の投票価値の不均衡が違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったか、(2)本件選挙までに本件定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるかが問題となった。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件選挙当時の最大較差3.127倍について、較差が令和4年選挙当時の3.030倍から相当大きく拡大し、その拡大傾向が今後も継続・加速する可能性が高いこと、較差2倍超の選挙区の有権者が全体の約74.6%を占めること等から、投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったと判断した。また、平成27年改正から約10年、平成30年改正から約7年が経過しても定数配分規定が改正されず、国会の是正に向けた取組に具体的進展が見られないことも指摘した。しかし、令和2年及び令和5年の最高裁大法廷判決がいずれも本件定数配分規定を違憲とはしなかったこと、各選挙間の較差の変化が極端な悪化とまではいえないことから、国会が本件選挙までに違憲状態を具体的に認識できたとは認められないとし、本件定数配分規定を改めなかったことが国会の裁量権の限界を超えるとはいえず、憲法に違反するに至っていたとはいえないと結論づけた。