AI概要
【事案の概要】 令和7年7月20日に行われた参議院議員通常選挙(選挙区選出)について、福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県の各選挙区の選挙人である原告らが、公職選挙法所定の議員定数配分規定は投票価値の平等に反し違憲であるとして、公職選挙法205条に基づき、上記各選挙区における選挙(本件北部九州選挙)の無効を求めた事案である。本件選挙当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は3.13倍であった。 【争点】 本件定数配分規定の下での投票価値の不均衡が違憲状態にあるか、及び国会が是正措置を講じなかったことが裁量権の限界を超えるか。原告らは、国会は国民から国政を受託しており選挙制度の決定に裁量を有しないと主張し、投票価値の不均衡が違憲状態に至れば定数配分規定は直ちに無効になると主張した。被告らは、都道府県を選挙区の単位とすることには合理性があり、国会は較差是正に向けた議論を継続しているとして合憲を主張した。 【判旨】 裁判所は、選挙区間の最大較差が3倍程度まで開いている状況につきやむを得ない事情は認められず、本件定数配分規定の下での投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態(違憲状態)にあったと判断した。較差は令和元年の3.00倍から令和4年の3.03倍、本件選挙の3.13倍へと有意に拡大しており、国会の較差是正に対する熱意の低下も明らかであるとした。しかし、最高裁が最大較差3倍程度の定数配分規定を違憲状態と判断したことがなく、令和5年10月にも合憲状態と判断していたことに照らせば、是正のための十分な期間が経過したとは認められず、国会の裁量権の限界を超えるとまではいえないとして、本件定数配分規定は憲法に違反せず有効であると結論づけ、原告らの請求をいずれも棄却した。