不正競争行為差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、YouTube及びツイキャスにおいてオリジナル動画を配信し収益を得ている動画配信者であり、被告は囲碁・将棋の実況中継等の番組を有料で動画配信する株式会社である。原告は、被告が配信する将棋の実況中継から得た情報を基に、自ら用意した将棋盤面に各対局者の指し手を表示するなどして即時に配信する動画(被告の映像・音声等は一切使用していない)をYouTube及びツイキャスに投稿していた。これに対し被告は、原告の動画が被告の著作権を侵害するとしてGoogle及びモイ株式会社に削除申請を行い、原告の動画は繰り返し配信停止された。原告は、被告の削除申請が不正競争防止法2条1項21号の「虚偽の事実の告知」に該当するとして、差止め、信用回復措置及び損害賠償を求めた。 【争点】 1. 被告の削除申請は「虚偽の事実の告知」に当たるか 2. 削除申請は原告の「営業上の利益」を侵害するか 3. 損害の発生及びその額 4. 差止め及び信用回復措置の必要性 【判旨】 裁判所は、原告の請求を一部認容した。争点1について、本件動画が被告の著作権を侵害しないこと(被告も争わず)にもかかわらず、著作権侵害を理由とする削除申請を行ったことは「虚偽の事実の告知」に当たると認定した。争点2について、被告は棋譜情報のフリーライドを主張したが、裁判所は、棋譜は公表された客観的事実であり原則として自由利用の範疇に属する情報であるとし、王将戦主催者が一方的に定めた棋譜利用ガイドラインに原告への法的拘束力はないとして、原告の営業上の利益侵害を認めた。損害額については、動画1本当たりの収益を原告主張の4万7845円ではなく2万2200円と認定し、YouTube分の逸失利益82万1083円、ツイキャス分5万9790円、慰謝料20万円、弁護士費用10万8087円の合計118万8960円を認容した。差止めについては本件動画に限定して認め、信用回復措置はツイキャスに関してのみ認容し、YouTube分は既に配信停止が解除済みとして否定した。