特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 発明の名称を「大容量送水システム」とする特許(特許第5695790号)の特許権者である控訴人(帝國繊維株式会社)が、被控訴人(日本機械工業株式会社)に対し、被控訴人製品が本件特許権を侵害するとして、特許法100条1項に基づく製造・譲渡等の差止め、同条2項に基づく廃棄、及び不法行為に基づく損害賠償約4億9654万円の支払いを求めた事案の控訴審である。本件特許に係る発明は、大型機器・設備の冷却や消火活動のために大量の水を途切れることなく連続的に送水するシステムに関するもので、取水用水中ポンプを駆動するディーゼルエンジンの燃料タンクに燃料残量計センサーを付設し、その燃料残量レベル信号に基づいて燃料備蓄タンクからの燃料供給を自動的にオン・オフ制御する構成を特徴とする。原審(東京地裁)は控訴人の請求を全部棄却し、控訴人が被控訴人製品1に関する部分に限定して控訴した。 【争点】 主な争点は、被控訴人製品1が本件発明の構成要件Cを充足するか否かである。構成要件Cは「燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、燃料備蓄タンク内の燃料の燃料タンクへの供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行う自動供給ポンプ機構」を規定する。控訴人は、構成要件Cは燃料残量レベル信号の存在と、同信号に「基づいて(起因して)」オン・オフ制御することが求められているにすぎず、信号が直接燃料供給装置に伝達されることまでは要求されていないと主張した。 【判旨】 控訴棄却。知財高裁は、構成要件Cの「燃料残量レベル信号に基づいて」の文言に照らし、燃料残量計センサーの信号が自動供給ポンプ機構に送られ、当該信号をもってオン・オフ制御が自動で行われるものと解釈した。この解釈は、本件発明の図面において燃料残量レベル信号を自動供給ポンプ機構に直接送るためのケーブルが設置されていることからも裏付けられるとした。他方、被控訴人製品1は、補給管路内の圧力を圧力スイッチで検知し、その検知信号に基づいて燃料供給のオン・オフ制御を行うものであり、燃料残量計センサーの信号が燃料供給装置に直接送られる構成ではないと認定した。燃料残量レベル信号がバルブの開閉を介して間接的に圧力スイッチに作用する関係をもって構成要件Cの充足を認めることは不自然な拡張解釈であり、また、間接的な要素が介在することで燃料供給制御に不確実性がもたらされ、送水の連続性を確保するという本件発明の目的にも反するとして、被控訴人製品1は構成要件Cを充足しないと判断した。