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【事案の概要】 商標権(「仙脩」、登録第3297239号、第5類・薬剤)を有する原告(配置薬販売会社)が、医薬品の製造・卸売りを行う被告に対し、被告が販売する六神丸の商品・包装・広告に「仙修」「仙修六神丸」「御所仙修」等の標章を付して販売する行為が原告の商標権を侵害するとして、商標法38条1項及び3項に基づき985万3748円の損害賠償を求めた事案である。原告は埼玉県周辺で配置薬として「虎脩本方六神丸S」等を販売し、被告は奈良県御所市に所在し、昭和26年から「仙修六神丸」、平成4年から「御所仙修六神丸」を製造・販売していた。 【争点】 ①本件商標「仙脩」と被告各標章(「仙修」「仙修六神丸」「御所仙修」「御所仙修六神丸」)の類否、②先使用権の成否、③消滅時効の成否、④損害の発生及び数額。 【判旨】 裁判所は、一部認容(109万4744円)の判決を下した。 争点①について、「仙脩」と「仙修」は外観が類似し、称呼が同一(「せんしゅう」)であり、「脩」は「修」の異字体ないし簡体字として使用されることもあるため観念も類似するとして、被告標章1(仙修)、被告標章2(仙修六神丸、「六神丸」は一般名称で識別力なし)、被告標章3(御所仙修、「御所」と「仙修」が外観上分離)はいずれも本件商標に類似すると判断した。一方、被告標章4(御所仙修六神丸)は「御所」と「仙修」の間に空白がなく四角枠もないため外観上分離されず、「御所」部分にも一定の識別力があるとして非類似と判断した。 争点②の先使用権について、被告は奈良県配置家庭薬品目収載台帳への記載等により周知性を主張したが、裁判所は、需要者には消費者も含まれるところ消費者が台帳を確認することは通常なく、台帳記載をもって需要者間で広く認識されていたとは認められないとして、先使用権の成立を否定した。 争点③の消滅時効について、被告は原告が本件商標出願時又は遅くとも平成30年末までに被告標章の使用を知っていたと主張したが、裁判所は、原告が台帳を確認した証拠はなく、インターネット検索結果も時期により異なるため推認できないとし、原告が被告の六神丸の存在を知ったのは令和3年3月10日であるとの供述を排斥できないとして、消滅時効の完成を否定した。 争点④の損害額について、商標法38条1項を適用し、原告商品の単位利益1500円、被告各商品の140粒換算販売数量2万1236個を認定した上で、原告の販売地域が5都県に限られること、配置薬とインターネット販売という販売形態の大きな違いから、98%を「販売することができない事情」に係る数量と認定した。38条1項1号の損害を63万7500円、特定数量に対する同項2号の損害を35万7244円、弁護士費用10万円とし、合計109万4744円を認容した。