損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5ネ956
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2024年1月17日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 裁判官
- 梅本圭一郎、井出弘隆、瀬田浩久
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 17歳の女性が性犯罪に遭い殺害されたという刑事事件の被害者遺族である控訴人らが、現職の裁判官である被控訴人がインターネット上(Twitter及びFacebook)に当該刑事事件及び控訴人らに関する記事を投稿したことにより、名誉権等の人格権が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償(各82万5000円)を求めた事案の控訴審である。被控訴人は、いわゆる「白ブリーフ裁判官」として知られ、Twitterのフォロワーは約4万人に達していた。原審は各22万円の限度で請求を認容し、控訴人らが棄却部分を不服として控訴した(被控訴人は控訴権を放棄)。 【争点】 (1) 本件投稿1(刑事判決紹介投稿)の不法行為該当性 (2) 本件投稿2(「因縁をつけている」との記載を含むブログ投稿)の不法行為該当性 (3) 本件投稿3(Facebookへの投稿)の不法行為該当性 (4) 本件投稿1に係る消滅時効の成否 (5) 損害額 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、犯罪被害者等基本法の趣旨に照らし、犯罪により子を失った遺族が事件を好奇の目にさらされたくないと願う心情は、不法行為法上も保護に値する人格的利益であると判示した。本件投稿1について、被控訴人が刑事事件の法律上の論点に言及せず、「首を絞められて苦しむ女性の姿に性的興奮を覚える性癖を持った男」等の被告人の異常な性癖や犯行の猟奇性に着目した表現で刑事判決を紹介したものであり、閲覧者の性的好奇心に訴え掛けて興味本位で閲覧を誘導するものであるとして、社会通念上受忍すべき限度を超える人格的利益の侵害に当たり不法行為を構成すると認定した。もっとも、控訴人らは投稿翌日に抗議しており、その時点で損害及び加害者を知ったと認められるため、3年の消滅時効が完成したと判断した。本件投稿2については、投稿先のブログごと削除されており本文を確認できないこと、控訴人らがこの投稿について当時抗議した形跡がないこと等から、控訴人らの抗議に言及したものとは認定できないとした。結局、時効消滅していない本件投稿3についてのみ損害を認定し、各22万円の原審判断を維持して控訴を棄却した。