特許権侵害行為差止等、損害賠償等
判決データ
AI概要
【事案の概要】 「旨み成分と栄養成分を保持した無洗米」に関する特許権(特許第4708059号)を有する原告(東洋ライス株式会社)が、被告幸南食糧株式会社及び被告米匠庵(同グループ会社)に対し、被告らが製造・販売する無洗米「胚芽一番」が本件特許発明の技術的範囲に属するとして、特許法100条に基づく差止め・廃棄、並びに不法行為に基づく損害賠償及び不当利得返還(合計約5000万円の一部請求)を求めた事案である。原告と被告幸南は、かつてP1式精米法使用契約を締結していたが、平成27年1月に同契約が終了した後も被告らが無洗米の製造販売を継続したことから、本件各訴訟が提起された。 【争点】 主な争点は、(1)被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(特に構成要件A「亜糊粉細胞層が米粒の表面に露出しており」の充足性)、(2)本件発明に無効理由(産業上利用不可能、未完成発明、サポート要件違反、明確性要件違反)があるか、(3)損害額であった。 【判旨】 裁判所は、争点(1)の構成要件Aの充足性について詳細に検討し、原告の請求をいずれも棄却した。原告は被告製品の米粒表面に亜糊粉細胞層が露出していることを立証するため、デンプン染色・脂質染色試験、白度・黄色度試験、脂質定量分析試験、CBB染色試験、NMG染色試験等の複数の試験結果を提出した。しかし裁判所は、(1)脂質染色試験について、澱粉細胞層にも脂質が含有されていないとの前提が立証されていないとし、(2)白度・黄色度試験について、本件明細書上、亜糊粉細胞層が現れる白度は米粒やロットにより異なり試験搗精での確認が必要であるから、白度が範囲内であることのみでは亜糊粉細胞層の露出を意味しないとし、(3)CBB染色・NMG染色・脂質染色の各試験について、糊粉細胞層と亜糊粉細胞層の成分量の差を染色色調の差として検出できることの証拠がないとし、(4)各試験を総合考慮しても被告製品の米粒表面に亜糊粉細胞層が露出していることは認められないと判断した。以上から、その余の争点を判断するまでもなく、原告の請求は理由がないとして全て棄却された。