発信者情報開示請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 職業写真家である控訴人(原告)が、自身の写真(本件写真)の著作権を侵害されたとして、当該写真が掲載されたウェブサイトを管理する被控訴人(Google LLC)に対し、プロバイダ責任制限法5条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた事案の控訴審である。控訴人は、インラインリンクによる著作権侵害幇助に関する別件訴訟判決についてブログ記事を執筆しており、本件写真はその判決の対象となった著作物であった。本件発信者1は、控訴人のブログ記事のURLを紹介する投稿(本件投稿1)において本件写真を掲載し、本件発信者2は、スパムブログとされるウェブサイト上の投稿(本件投稿2)において本件写真を掲載した。原審(東京地裁)は、いずれの投稿についても著作権法41条(時事の事件の報道のための利用)の適用を認め、控訴人の請求をすべて棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 主な争点は、本件各投稿における本件写真の利用について、著作権法41条(時事の事件の報道のための利用)が適用されるか否かである。控訴人は、(1)本件投稿1は判決内容の報道ではなく控訴人ブログの存在紹介にすぎず「時事の事件の報道」に該当しない、(2)本件投稿2は自動生成されたスパム記事であり報道目的がない、(3)AdSenseアカウント及び網羅的アクセスログも開示対象となると主張した。被控訴人は、いずれの投稿も著作権法41条の要件を満たすと反論した。 【判旨】 知財高裁は、控訴棄却とした。本件投稿1について、本件写真は別件訴訟判決という時事の事件の主題となった事件を構成する著作物であり、本件投稿1における掲載は社会的意義のある事件を客観的かつ正確に伝えるものとして著作権法41条の適用を認めた。本件投稿2について、控訴人が提出した証拠からは当該ブログがスパムブログであると直ちに認めることはできず、フェイクアラート等が表示されたとしても、インターネット広告はウェブサイト作成者の意図によらず表示される場合があること、被控訴人代理人が同ブログを問題なく閲覧できたこと等から、本件投稿2自体がユーザーをスパムブログに誘導するものとは認められないとした。また、自動生成ブログの特徴に関する控訴人の主張も一般的特徴を示すにすぎないとして排斥した。AdSenseアカウント及び網羅的アクセスログの開示請求についても、本件各投稿が著作権法41条により適法である以上、開示を命ずることはできないとして退けた。