AI概要
【事案の概要】 原告は、「重力発電法」と題する発明について特許出願を行い、手続補正により請求項3〜6を追加した。拒絶査定を受けて不服審判を請求したが、特許庁は、①補正が明細書等に記載した事項の範囲内でされたものではなく特許法17条の2第3項の要件を満たさないこと、②発明の詳細な説明が当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されておらず同法36条4項1号(実施可能要件)に違反すること、③特許請求の範囲の記載から各発明を明確に把握できず同条6項2号(明確性要件)に違反することを理由に、審判請求不成立の審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 【争点】 1. 補正要件(特許法17条の2第3項)の充足性に関する判断の誤りの有無 2. 実施可能要件違反(同法36条4項1号)に関する判断の誤りの有無 3. 明確性要件違反(同法36条6項2号)に関する判断の誤りの有無 【判旨】 請求棄却。裁判所は、事案に鑑みまず取消事由2及び3について判断した。実施可能要件について、本願発明1〜6はいずれも発電の方法に関する発明と認められるものの、請求項の記載全体を検討しても具体的な発電方法に関する記載は存在せず、「GAFAのパソコン」を用いてどのように発電を行うかも不明であり、明細書中の「sec.=3.10×10⁻¹⁰をダウンロードすれば発電する」等の記載を考慮しても発電の原理や方法は理解できないとして、当業者が過度の試行錯誤を要することなく実施できるとは解されないと判断した。明確性要件についても同様に、各請求項の記載は技術的範囲に属するか否かの判断が困難となるほどに不明確であると認定した。原告が主張した職権訂正の違法性や請求項7の補正に関する和解申立て等についても、いずれも採用できないとした。取消事由2及び3に理由がない以上、取消事由1について判断するまでもなく、審決の判断に違法はないと結論付けた。