AI概要
【事案の概要】 本件は、経皮的分析物センサを皮膚に適用するためのアプリケータに関する特許出願(特願2019-570026)について、拒絶査定不服審判請求を不成立とした特許庁の審決の取消しを求める訴訟である。原告(デックスコム・インコーポレーテッド)は、拒絶査定不服審判請求と同時に特許請求の範囲の補正(本件補正)を行ったが、特許庁は、本願発明2に係る補正について新規事項の追加に当たるとし、本願補正発明1について引用発明(特表2013-523216号)との関係で新規性を欠くとして独立特許要件違反を認定し、本件補正を却下した上で審判請求を不成立とした。 【争点】 (1) 本願発明2に係る補正における新規事項追加の有無(水蒸気透過率の単位「グラム/100in2」に「/24h」を付加する補正が新規事項に当たるか) (2) 本願補正発明1の独立特許要件(引用発明との同一性・進歩性)における「作動部材」の認定の当否 (3) 審判手続における手続違背・審理不尽の有無 【判旨】 裁判所は、以下の理由により審決を取り消した。 争点(1)について、水蒸気透過率の単位時間として「24h」のみが用いられるという技術常識は認められないものの、出願日当時の技術文献上、水蒸気透過率は1時間単位又は24時間単位で表すことが通常であったと認められるから、補正前の「10グラム/100in2未満」は、1時間単位又は24時間単位のいずれかを意味することが当業者にとって自明であるとした。そして、仮に1時間単位であったとしても24時間換算値は補正後の数値範囲を包含するから、本件補正は特許請求の範囲を同じか又はそれよりも狭い範囲に限定したものであり、新たな技術的事項を導入するものではないと判断した。 争点(2)について、本願明細書の記載を総合すると、「作動部材」とは押しボタンやキャップなど利用者が直接又は間接に押したり移動させたりすることがトリガとなって挿入アセンブリが作動する部材を指すと解すべきであり、引用発明において「作動部材」に相当するのは「針キャリア434」ではなく「ハンドル402」であるとした。そして、ハンドル402はアプリケータの最上面に存在し、封止要素であるキャップ404によって覆われていないから、本願補正発明1の構成F(封止要素が作動部材も封止する構成)において引用発明と相違点が認められ、新規性欠如の判断は誤りであるとした。また、容易想到性についても審決では相違点に関する具体的検討がされておらず、判断が不十分であるとした。 争点(3)については、本件補正の却下が相当でない以上、審決は取り消されるべきであり、手続違背の点は判断を要しないとした。