特許を受ける権利の確認請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(医療機器メーカー)が、元代表取締役である被告Aおよび被告Aが設立した被告会社に対し、被告Aが原告在職中に行った医療機器に関する複数の発明(遠位スタビライザに関する発明1-1、血管プラグに関する発明1-2・1-3)について、職務発明として原告が特許を受ける権利を有することの確認を求めた第1事件と、原告の元研究開発部長である被告Bに対し、同様に職務発明として特許を受ける権利の確認を求めた第2事件の併合審理である。発明1-1、1-3及び2に係る出願は国際特許出願(PCT出願)であったが、いずれも指定国で国内移行手続が行われず取下擬制となっていた。発明1-2のみが国内特許出願であった。 【争点】 ①PCT出願に係る発明(1-1、1-3、2)について、国内移行手続未了で取下擬制となった場合に確認の利益が認められるか、②発明1-1の職務発明性、③発明1-3(及び1-2)の職務発明性が争われた。被告らは、原告の業務範囲はステント型血栓除去デバイスの設計開発・販売に限定されており、各発明は原告の業務範囲に属さないと主張した。また、被告Aは代表取締役として大局的判断を行う立場にあり、個々の発明は職務範囲外であると主張した。なお、被告らは心証開示後に訴訟代理人を交代して新たな準備書面を提出したが、原告はこれを時機に後れた攻撃防御方法として却下を申し立てた。 【判旨】 裁判所は、まず被告らの新準備書面について、審理計画に明らかに反し訴訟の完結を遅延させるものとして、時機に後れた攻撃防御方法に当たるとして却下した。確認の利益については、属地主義の原則に照らし、日本法に基づく特許を受ける権利の確認がドイツ法上の権利の承認に直結するとはいえず、PCT出願が全て取下擬制となっている以上、確認の対象となるべき権利関係が存在しないとして、発明1-1、1-3及び2に係る請求をいずれも却下した。発明1-3(及び1-2)の職務発明性については、原告がIGAとのアドバイザー契約や大塚メディカルとの覚書において血栓除去デバイス以外の医療機器開発も業務対象としていた事実から、原告の業務範囲は広く頭蓋内治療用機器の開発一般に及んでいたと認定し、血管プラグの発明は業務範囲に含まれると判断した。被告Aの職務範囲についても、代表取締役として医療機器開発を推進する具体的責務を負っていたとして、職務発明に該当すると認めた。結論として、国内特許出願である発明1-2についてのみ原告の請求を認容し、その余の請求は確認の利益を欠くとして却下した。