特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、大韓民国の通信技術企業である原告が、LTE通信に関する2件の特許権(第1特許:無線通信システムにおける参照信号送信装置に関する特許、第2特許:多重コンポーネントキャリアシステムにおけるアップリンク伝送電力制御に関する特許)を有するとして、LTE対応スマートフォン等を日本国内で輸入販売する被告(ASUS JAPAN株式会社)に対し、被告製品が上記各特許の技術的範囲に属すると主張して、特許法100条1項及び2項に基づく差止め・廃棄、並びに損害賠償金1000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。被告は、構成要件の非充足、進歩性欠如による無効、及びFRAND宣言に基づく権利濫用を主張して争った。 【争点】 (1) 第1特許について、被告製品が「仮想セルIDパラメータ」及び「循環遅延ホッピング初期値パラメータ」を使用して参照信号を生成・送信しているか(構成要件1-C及び1-D の充足性) (2) 第2特許について、被告製品が「推定余剰電力を計算」し、「推定余剰電力が臨界電力より小さい場合」の処理を行っているか(構成要件2-1D及び2-1Eの充足性) (3) 第1特許の進歩性欠如による無効理由の有無 (4) FRAND宣言に基づく差止請求権の権利濫用該当性 【判旨】 請求棄却。裁判所は、争点(1)について、LTE規格は本件パラメータの使用を必須とするものではなく、CoMP(アップリンク多地点協調)はLTE規格準拠端末の必須構成ではないと認定した。被告製品に組み込まれたチップセットが本件パラメータを使用して参照信号を生成・送信するものではないことが秘密保持命令対象の証拠等から推認され、原告の「LTE規格準拠であれば当然に本件パラメータを使用する」との主張は客観的裏付けを欠くとして排斥した。争点(2)について、被告製品は伝送電力の合計がPCMAXを超えるか否かを判断するにとどまり、本件第2発明のように推定余剰電力が特定の電力値である臨界電力より小さいか否かを判断するものではないとして、構成要件の非充足を認定した。以上により、被告製品は本件各発明の構成要件をいずれも充足しないとして、無効論及びFRAND抗弁について判断するまでもなく、原告の請求を全部棄却した。