AI概要
【事案の概要】 本件は、司法書士法人等を経営する原告が、同じく司法書士である被告に対し、ツイッター(現「X」)上でのなりすまし投稿による損害賠償を求めた事案である。被告は、原告の氏名をアカウント名に使用し、原告がアイコンとして使用していたアザラシのイラスト(本件イラスト)に目線を入れた「黒塗りイラスト」をアイコン画像に設定したアカウントを開設し、複数の投稿を行った。原告は、これらの行為が氏名権、著作権(複製権・公衆送信権)、平穏生活権及び名誉感情を侵害する不法行為に当たるとして、150万円の慰謝料等を請求した。 【争点】 1. 本件各投稿が不法行為を構成するか(氏名権侵害、著作権侵害、平穏生活権侵害、名誉感情侵害の各成否) 2. 損害の発生及びその額 【判旨】 裁判所は、請求を一部認容し、15万円の慰謝料を認めた(請求額の10分の1)。 氏名権侵害については、本件アカウントに原告の氏名及び法人グループの総称が表示されており、閲覧者は投稿者として原告の氏名を認識するから、原告の氏名を冒用したものと認定した。被告が「フィクションであり実在の人物とは関係がない」とプロフィールに記載していた点については、閲覧者は原告自身がその旨記載したと理解するにすぎず、氏名権侵害の判断に影響しないとした。 著作権侵害については、本件イラストは丸みを帯びた輪郭や親しみやすい表情等に創作性が認められ著作物に該当すると判断した。黒塗りイラストは本件イラストの表現上の本質的な特徴の同一性を維持しており、被告がこれをツイッター上に投稿して閲覧可能な状態にしたことは複製権及び公衆送信権の侵害に当たるとした。ただし、原告は著作者ではないため、著作権侵害による精神的苦痛は認められないとした。 平穏生活権侵害については、原告が主張する自動投稿やアカウント凍結後の再作成等の事情を裏付ける客観的証拠がないとして否定した。 名誉感情侵害については、本件投稿1は、原告になりすまして「その存在はフィクション」等と記載したもので、閲覧者に原告が趣旨不明な投稿をする人物との印象を与え名誉感情を侵害すると認定した。一方、他の投稿(第三者のアカウントによる投稿のリツイート)については名誉感情侵害を否定した。