AI概要
【事案の概要】 原告は、「光学イメージング装置」に関する特許出願(特願2018-508134号)について拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求するとともに手続補正を行ったが、特許庁は補正を却下し「本件審判の請求は、成り立たない」との審決をした。本願発明は、内視鏡プローブのイメージファイバ(光ファイバの束)を用いた光学イメージング装置に関するもので、ファイバ素線の格子模様が画像の視認性を低下させるという課題に対し、振動素子でイメージファイバを振動させて格子模様をリアルタイムで打ち消す構成を特徴とする。特許庁は、本願補正発明が引用発明(特開昭64-21413号公報)及び周知技術に基づき当業者が容易に発明できたものであるとして進歩性を否定した。原告はこれを不服として審決取消訴訟を提起した。 【争点】 主な争点は、(1)引用発明との相違点3(振動素子がファイバ素線の格子模様を打ち消すように作動する点)の認定の誤りの有無、(2)相違点1及び2(イメージファイバを介して照明光を導く周知技術の適用)についての判断の誤りの有無、(3)相違点3についての判断の誤り(技術常識の認定、引用発明の解釈、引用発明の作用の認定、判断の不足)の有無、(4)本件補正却下に伴う特許請求の範囲の認定の誤りの有無である。特に、本願発明が課題とする「ファイバ素線の格子模様」と引用発明が課題とする「モアレ」が発生原理の異なる光学現象であるか否かが中心的な技術的争点となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず相違点3の認定について、審決はバイモルフの振動のみでA及びB方向のモアレを消去すると認定したものではなく、ローパスフィルタがB方向のモアレを消去することを前提とした認定であるとして、認定に誤りはないとした。相違点1及び2について、内視鏡の挿入部の細径化は周知の課題であり、イメージファイバを介して照明光を導く周知技術を引用発明に適用する動機付けがあるとした。相違点3の判断について、モアレが観察される状況ではファイバ素線の格子模様も程度の差はあれ観察されるとし、引用発明においても振動によりファイバ素線の格子模様が低減されると認定した。また、本願明細書の記載から「格子模様を打ち消す」とは振動させない場合に比べて格子模様が低減されることを指し、低減の程度を限定しないと解されるとして、引用発明も同様の構成を有するとした。以上から、本願補正発明の進歩性を否定した審決の判断に誤りはないと結論づけた。