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【事案の概要】 北海道雄武町の職員であった被災者(当時45歳)が、係長昇任後の過重な業務負荷により気分障害を発症し、平成27年12月9日に自死した。被災者は同年9月22日から10月24日まで33日間連続勤務し、30日間の時間外勤務は109時間25分に及んでいた。係の人員は削減され、業務が遅滞している状態にあったにもかかわらず、上司らは被災者へのサポートを特段行わなかった。被災者の妻である原告A及び子ら(原告B、C、D)が、被告雄武町に対し、国家賠償法1条1項又は民法415条に基づく損害賠償を求めた事案である。なお、先行する公務外認定処分取消訴訟において、札幌高裁が公務起因性を認め、公務外認定処分を取り消す判決が確定している。被告の注意義務違反及び被災者の自死との因果関係については当事者間に争いがなく、損害額が唯一の争点であった。 【争点】 損害額(逸失利益の基礎収入額、生活費控除率、慰謝料額、葬儀費用、損益相殺の範囲等)。 【判旨】 裁判所は、以下のとおり損害額を認定した。①逸失利益について、被災者と同等以上の職位にあった行政職員24名の給与平均額738万1574円を基礎収入とし、生活費控除率は、扶養していた子2名が当時19歳と16歳でその後扶養される期間が長くなかったことから40%(原告ら主張の30%を排斥)とし、5829万8195円と算定した。定年の前後で基礎収入を区別すべきとの被告の主張に対しては、定年が段階的に65歳まで引き上げられること及び退職金増額分を逸失利益として主張していないことから、退職前後を問わず同一の基礎収入によるのが相当とした。②慰謝料は2800万円、③葬儀費用は150万円と認定した。④原告Aの固有慰謝料は、20年以上共に過ごした夫を失ったこと等を考慮し100万円とした。⑤損益相殺について、地方公務員災害補償法に基づく葬祭補償は目的が特定された補償金であるとして、葬祭費用からのみ控除すべきとした。以上により、原告Aに対し1737万6588円、原告子らに対し各1609万6335円及び遅延損害金の支払を命じた。