損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 1審原告(物流倉庫を運営する企業)が、1審被告(再生資源回収業者)との間で段ボール等の再生資源を継続的に売却する契約を締結していたところ、1審被告の従業員が1審原告の物流倉庫内の端材室においてフォークリフトを用いて段ボールの回収運搬作業を行った際、大量に堆積した段ボールの中でフォークリフトの前進・後退を繰り返した結果、高温となった排気管に段ボールが接触して発火し、大規模火災が発生した。1審原告は、1審被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として約101億円及び遅延損害金の支払を求めた。原審は約51億円を認容したが、双方が控訴した。 【争点】 主な争点は、①1審被告の従業員の過失の有無(フォークリフト排気管による発火の予見可能性)、②段ボール積込作業が1審原告の履行補助者としての行為か否か、③1審原告側の消防法規違反等(通報遅延、屋外消火栓の不適切使用、防火シャッターの閉鎖障害、危険物の違法保管)により2・3階への延焼との因果関係が断絶するか、④損害額の算定、⑤過失相殺の割合である。 【判旨】 控訴審は、1審原告の請求を約94億2638万円の限度で認容し、原判決を変更した。 まず、1審被告の従業員の過失について、発火の細かい機序の認識がなくとも、排気管が高温になりその付近の可燃物が燃えるという因果関係の主要部分についての認識可能性があれば予見可能性に欠けることはないとし、刑事処分が見送られたことも過失の認定を左右しないとした。次に、本件契約上の段ボールの引渡しは取立債務であり、1審被告従業員による端材室での作業は受領行為(協力行為)と位置付けられるとして、履行補助者の主張を退けた。 1審原告側の帰責事由による因果関係の断絶の主張については、通報の約7分の遅れは通常の火災であり得ないほど異常な経過とまではいえず、屋外消火栓のポンプ起動ボタンの押し忘れも因果関係を否定するには足りないとした。防火シャッターについても、西ハト小屋のシャッターの不作動は火災による配線短絡が原因で1審原告の帰責事由とはいえず、法令上設置義務のないものであったこと等から因果関係を否定できないとした。危険物の違法保管についても、これがなければ延焼しなかったとは認められないとした。 もっとも、過失相殺については、端材室における段ボールの堆積状態の作出、火災報知設備の誤認スイッチオフ、通報訓練の未実施、屋外消火栓の不適切使用、危険物の違法保管、防火シャッター降下位置への物品放置等の事情を総合し、1審被告従業員の過失の程度が重くないことも考慮して、1審原告の過失割合を35%と認定した。