地方自治法第251条の5に基づく違法な国の関与(是正の指示)の取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 沖縄防衛局は、普天間飛行場の代替施設を名護市辺野古沿岸域に設置するための埋立事業に関連し、沖縄県知事(原告)に対し、沖縄県漁業調整規則40条1項に基づき、埋立予定区域(大浦湾側DEHN地区)に生息する造礁さんご類(小型さんご類約8万4000群体、しょうがさんご8群体、大型さんご類21群体)を環境保全措置として移植するための特別採捕許可を申請した(本件各申請)。原告は、大浦湾側に軟弱地盤が存在し設計概要の変更承認(別件変更承認)が未了であることから、埋立工事によるさんご類死滅の状況は生じておらず申請内容に必要性が認められないとして、本件各申請を不許可とした。これに対し、沖縄防衛局が農林水産大臣(被告)に審査請求をしたところ、被告は本件各不許可処分を取り消す裁決(本件裁決)をした。さらに被告は、沖縄県に対し、地方自治法245条の7第1項に基づき本件各申請に対する許可処分をするよう是正の指示(本件指示)をした。原告は、国地方係争処理委員会への審査申出を経た上で、本件指示の取消しを求めて提訴した。 【争点】 1. 原告が本件各申請に対する許可処分をしないことが地方自治法245条の7第1項の「法令の規定に違反していると認めるとき」に該当するか 2. 是正の指示の要件として、法令違反に加え「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害している」(公益侵害等要件)の充足も必要か 3. 被告が審査庁と関与庁の立場を不当に連結して関与権限を濫用したか 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。争点1について、令和5年最高裁判決を引用し、法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分を取り消す裁決がされた場合に、同一の理由に基づいて申請を認容する処分をしないことは「法令の規定に違反していると認めるとき」に該当すると判示した。原告は本件裁決後も必要性がないとの同一理由で許可処分をしておらず、残余の審査基準項目(目的の適合性、採捕従事者の適格性、妥当性、水産資源保護上の問題の不存在)についても裁判所が独自に該当性を認定した上で、本件事務処理は漁業法119条2項1号に違反すると認定した。争点2について、地方自治法245条の7第1項は法令違反と公益侵害等要件を選択的に規定しており、法令違反があれば公益侵害等要件の充足は不要であると判示した。争点3について、裁決の主体と是正の指示の主体が一致することは法が予定する事態であり、裁決の趣旨に従った行動を義務付けて審査請求人の権利利益の救済を図るという行政不服審査法52条の趣旨に合致するとして、権限濫用の主張を退けた。