AI概要
【事案の概要】 本件は、DVD等の販売を事業とする原告(インフォメディア株式会社)が、ファイル共有ネットワーク「BitTorrent」(ビットトレント)を介して原告が著作権を有する動画(アダルト動画)のファイルが無断でアップロードされたことにより、公衆送信権が侵害されたと主張し、インターネット接続サービスを提供する被告(株式会社アクセル)に対し、プロバイダ責任制限法(法5条1項)に基づき、発信者の氏名・住所・電話番号・電子メールアドレスの開示を求めた事案である。 原告は、調査会社に委託してビットトレント上のアップロード状況を調査させ、クライアントソフト「μtorrent」を用いて、本件動画のピースをアップロードしていたピア(本件発信者)のIPアドレスと接続日時を特定した。 【争点】 主な争点は、権利侵害の明白性である。被告は、①本件動画はアダルト動画であり刑法175条の「わいせつ」な電磁的記録に当たるため著作物として保護されない、②本件調査時に発信者が保有していたピースは全体の37.7%にすぎず、創作性のある部分の複製に当たるか不明であるから、公衆送信権侵害が明らかとはいえない、と主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を全部認容した。 まず、著作物性について、本件動画は映像制作・販売倫理機構の審査を受けて一般に販売されている映像作品であり、アダルト動画であるからといって直ちに刑法175条の「わいせつ」な電磁的記録に当たるとはいえないとして、被告の主張を退けた。また、本件動画は原告の従業員らが企画・撮影等を行い、原告名義で公表された職務著作であるとして、原告に著作権が帰属すると認めた。 次に、権利侵害の明白性について、ビットトレントの仕組み上、ピースのダウンロードが始まると同時にアップロードも行われることから、本件発信者は本件動画のデータを送信可能化したと認定した。被告が指摘する「37.7%」の表示については、これはダウンロードの進捗状況を示すものであり、発信者が保有するピースの割合を表示するものではないとして、被告の主張は前提を欠くと判断した。さらに、仮にこの点を措くとしても、既に37.7%がダウンロードされており、調査会社がダウンロードした動画と本件動画を比較して複製であることを確認していることから、発信者が保有するピースは本件動画の創作性のある部分の複製に当たると認めた。 以上から、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由も認められるとして、開示請求を認容した。