逮捕監禁、保護責任者遺棄致死
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、内縁の夫Aと共に、孫であるB(当時2歳11か月)を大阪府富田林市の自宅で養育していた。被告人とAは共謀の上、令和4年6月24日から同月29日にかけて、ベビーベッドを改造して四方をベニヤ板で囲み上面に開閉式の蓋を取り付けた1立方メートルにも満たない狭いベビーサークル内にBを繰り返し閉じ込めた。さらに同月27日には、Bの両腕及び両足を粘着テープで緊縛した上でベビーサークル内に閉じ込め、そのまま2泊3日の外泊に出かけてBを置き去りにした(逮捕監禁罪)。被告人らはBの養育者としてその生存に必要な保護を行うべき責任があったにもかかわらず、十分な水分や食事を与えることも、ベビーサークル内の気温を適切に管理することもしないまま放置し、同月29日、Bを熱中症により死亡させた(保護責任者遺棄致死罪)。なお、Bは日頃から十分な食事を与えられておらず、司法解剖時の身長体重はともに標準の下位数パーセントの栄養不良状態にあった。本件は日常的な虐待行為の末の犯行であった。 【争点】 本件の争点は、①被告人が6月27日にBの両腕及び両足を粘着テープで緊縛したか、②ベビーサークルの上面に開閉式の板の蓋が付いていたか、の2点であった。争点①について、被告人の四男で当時15歳のCが、6月28日に帰宅した際にBが両腕両足をガムテープで縛られた状態でベビーサークル内にいたこと、6月29日にBがぐったりして口から血のようなものを出していたことなどを具体的に供述した。裁判所は、C供述が被告人や自己に不利な内容を含むにもかかわらず詳細かつ具体的であること、ごみ箱から発見されたガムテープ片にBのDNA型と矛盾しない人血が付着していたこと、司法解剖でBの手首に左右対称の損傷が認められたことなど客観的証拠と整合することから、C供述の信用性を認めた。弁護人は、Cが取調べ時の不安やストレスにより記憶が変容させられた可能性を主張したが、裁判所は退けた。争点②についても、C供述等に基づき蓋が付いていたと認定した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、犯行の悪質性として、視界が遮られ熱がこもりやすい劣悪な環境のベビーサークル内にBを約35時間にわたり緊縛して閉じ込め置き去りにしたこと、Bに煩わされずテーマパーク等で遊興したいという身勝手な動機であること、公的機関への相談など適切な選択肢を検討した形跡がないこと、被告人がAよりも大きい役割を果たしていたことを指摘した。弁護人は、被告人の境界知能やうつ症状による認知機能の低下、過去の性的被害の影響を主張したが、裁判所は、精神鑑定の結果によっても認知機能の低下は限定的であり、実子のCや五男の生活は十分気に掛けることができていたとして、動機や経緯に酌むべき事情は乏しいとした。本件を、動機が児童虐待である保護責任者遺棄致死の同種事案の中で中程度のやや重い部類に位置付け、求刑どおり懲役9年を言い渡した(弁護人の科刑意見は懲役5年6月)。