発信者情報開示請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(インフォメディア株式会社)は、アダルト動画の企画・製作・著作を行っていた訴外株式会社ML Worksを平成31年2月1日に吸収合併し、同社が著作権を有していた動画の著作権を承継した。氏名不詳者らは、ファイル交換ソフトウェア「BitTorrent」を用いて、被告(株式会社NTTドコモ)のインターネット接続サービスを利用し、原告が著作権を有する動画を複製したファイルを不特定多数の者に対して送信(公衆送信)した。原告は、著作権侵害を行った氏名不詳者らに対する損害賠償請求を予定しており、プロバイダ責任制限法5条1項に基づき、被告に対して発信者の氏名・住所・電話番号等の情報開示を求めた。被告は、原告の著作権の帰属や、被告が開示関係役務提供者に該当することなどを争った。 【争点】 主な争点は、①原告が本件各動画の著作権者であるか、②氏名不詳者らがBitTorrentを用いて本件各動画を公衆送信した事実が認められるか、③被告が開示関係役務提供者に該当するか、④発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるかである。 【判旨】 請求認容。裁判所は、まず本件各動画のパッケージに「企画・製作・著作 ML Works」等の表示があることから、著作権法の推定規定により訴外会社が著作者であると認定し、原告が吸収合併により著作権を承継したと判断した。次に、原告側が調査会社を通じて収集した証拠及び弁論の全趣旨から、氏名不詳者らがBitTorrentを利用して本件各動画を公衆送信した事実を認め、プロバイダ責任制限法5条1項1号の権利侵害の明白性を肯定した。さらに、原告が損害賠償請求を予定していることから、同項2号の「正当な理由」も認めた。以上により、原告の発信者情報開示請求をすべて認容した。本件はBitTorrentによる著作権侵害に対する発信者情報開示請求の典型的な事案であり、著作権の帰属についてパッケージ表示による推定と吸収合併による承継が認められた点が実務上の参考となる。