不正競争防止法に基づく差止請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 非たばこ加熱式スティック「The Third」を販売する原告が、競合商品「ccobato(コバト)」を輸入・販売する被告らに対し、不正競争防止法2条1項20号(品質誤認表示)に基づく差止め及び破棄を求めた事案である。本件商品のパッケージには「ニコチン0mg」、ウェブページには「天然茶葉が原料だからニコチンゼロ」「有害な成分はございません」等の表示(本件表示)がされていた。原告は、定量下限を0.1ppmとするガスクロマトグラフィー質量分析法により本件商品から0.1〜0.4ppmのニコチンが検出されたとして、本件表示は商品の品質・内容について誤認させる表示に該当すると主張した。原告は非たばこ加熱式スティック市場で約87.6%のシェアを有し、被告らは約9.5%のシェアを有していた。 【争点】 主な争点は、①本件表示が不正競争防止法2条1項20号所定の品質誤認表示に該当するか、②差止め等の必要性があるかである。原告は、0.1ppmの定量下限でニコチンが検出された以上「ニコチンゼロ」との表示は虚偽であり誤認表示に当たると主張した。被告らは、茶葉に内因性由来のニコチンが微量含まれるのは自然なことであり、公的機関も1ppm以下のニコチンを問題視していないこと、食品表示基準でも微量成分を0と表示することが許容されていること等を主張し、本件表示は誤認表示に当たらないと反論した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件商品に0.1〜0.4ppmのニコチンが含まれている事実を認定した上で、本件表示が品質誤認表示に当たるか否かは、需要者の需要を不当に喚起し被告らが不当に競争上優位に立つことになるか否かによって判断すべきとした。その上で、①本件表示の目的はニコチン含有量を科学的正確さで示すものではなく、たばこのように身体・精神に悪影響を与える程度の成分を含有していないことを示すものであること、②本件商品のニコチンは茶葉の内因性由来であり、人が摂取しても安全と評価される水準にとどまり、生理活性がない可能性も指摘されていること、③他の茶葉原料の非たばこ加熱式スティックも定量下限1ppmの分析で「ニコチン0」と表示しており、これら競合商品にも定量下限を下回る内因性ニコチンが含まれている可能性を否定できないことを指摘し、本件表示に接した需要者が本件商品を他の非たばこ加熱式スティックと比較してより優れたものと認識するとはいえないと判断して、品質誤認表示の成立を否定した。