都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3140 件の口コミ
知財

特許権侵害差止等請求事件

判決データ

事件番号
令和4ワ9521
事件名
特許権侵害差止等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2024年2月26日

AI概要

【事案の概要】 原告(株式会社日本触媒)は、熱可塑性樹脂組成物とその製造方法に関する特許権(特許第4974971号)を有している。本件特許は、主鎖に環構造を有する熱可塑性アクリル樹脂と、ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する分子量700以上の紫外線吸収剤(UVA)とを含み、110℃以上のガラス転移温度を有する樹脂組成物に関するものである。この発明は、従来のUVAではアクリル樹脂との相溶性に課題があり、高温成形時の発泡やブリードアウト、UVAの蒸散による紫外線吸収能の低下が問題となっていたところ、分子量700以上のUVAを用いることでこれらの課題を解決したものである。 原告は、被告(株式会社カネカ)が製造販売する光学用アクリル樹脂「HTX-ZU」が本件特許権を侵害するとして、製造販売等の差止め、半製品の廃棄、及び損害賠償金10億円(一部請求)の支払いを求めた。被告製品に使用されるUVAの分子式はC42H57N3O6であり、その分子量が「700以上」に該当するか否かが最大の争点となった。 【争点】 主要な争点は、(1)被告UVAの分子量が構成要件の「分子量が700以上」を充足するか(文言侵害の成否)、(2)仮に文言侵害が成立しない場合の均等侵害の成否、(3)本件各発明の進歩性欠如による無効理由の有無、(4)損害額であった。争点(1)について、原告は、JISハンドブック記載の原子量(小数点以下2桁)で計算すると分子量は700.02となり、四捨五入すれば700になると主張した。これに対し被告は、原子量の整数概数値(C=12、H=1、N=14、O=16)で計算すると分子量は699であり、700未満であると反論した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 争点(1)について、裁判所は、特許請求の範囲及び明細書にはUVAの分子量が整数値で記載されているが、計算方法や丸め方の根拠は示されていないため、当業者の技術常識により解釈すべきとした。そのうえで、IUPAC原子量表の数値に基づき被告UVAの分子量を計算すると699.91848となると認定した。原告が主張する原子量を小数点以下2桁に丸めてから分子量を算出しさらに整数に丸めるという方法は、誤差の原因となり技術常識にそぐわないとして退けた。 争点(2)の均等侵害について、裁判所は、数値限定発明においてその数値に技術的意義がある場合、数値による限定は特許発明の本質的部分に当たると判示した。本件では分子量「700以上」とすることに技術的意義が認められるため、被告UVAの分子量が700未満であるとの相違点は本質的部分に係る差異であるとして、均等の第1要件を欠くと判断した。原告が「700」は分子量が十分に大きいという上位概念の一指標にすぎないと主張した点についても、権利範囲を不当に拡大するものとして排斥した。 以上により、文言侵害も均等侵害も成立しないとして、進歩性及び損害額の争点を判断するまでもなく原告の請求を棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。