AI概要
【事案の概要】 全国展開する回転寿司チェーン「L」を経営するF社の元幹部Cが、F社在職中に同社の営業秘密である商品の原価表や食材の仕入先・仕入価格等のデータ(本件各データ)を不正に複製・領得した上、競合する回転寿司チェーン「K」を経営する被告会社に転職し、被告会社の商品部長であった被告人Bに対して本件各データを電子メールで送信して開示した。被告人Bは、本件各データを自身のパソコンに保存して取得した上、被告会社の商品本部長や商品開発課長に転送して開示し(第1)、さらにCと共謀の上、原価等情報データを用いてF社と被告会社の商品原価を比較したデータファイルを作成して営業秘密を使用した(第2)。被告会社は不正競争防止法違反の両罰規定により起訴された。 【争点】 主な争点は、①本件各データがF社の「営業秘密」に該当するか、②原価比較表の作成が営業秘密の「使用」に当たるか、③被告人Bに故意・共謀及び不正の利益を得る目的があったか、の3点であった。被告会社側は、本件各データは回転寿司業界では有用性がなく営業秘密に該当しないと主張し、被告人B側は、データは業務提携やM&AのためにF社の承諾のもとで開示されたものと認識していたと弁解した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、争点①について、F社では文書管理規程や退職後の守秘義務規程により秘密管理意思が明確に示され、本件各データはアクセス権限が約220名に限定されたフォルダに保管されパスワードも設定されていたことから秘密管理性を認め、回転寿司業界における商品の原価・仕入情報としての有用性及び非公知性も認めて、営業秘密該当性を肯定した。争点②について、原価比較表の作成は営業秘密の使用目的に沿った資料の作出であり、実際に商品開発等に活用されなくとも「使用」に該当するとした。争点③について、被告人Bはメールの件名やファイル名からF社の原価・仕入データであると容易に認識でき、上司のHも「これまずいよね。犯罪でしょ。」と指摘していたことなどから、営業秘密であることの認識及び不正の利益を得る目的を認定し、業務提携等のための適法な開示との弁解は不合理として排斥した。量刑については、被害会社と被告会社の事業規模を考慮し、公正な競争を阻害する行為として軽視できないとした上で、被告会社を罰金3000万円(求刑どおり)、被告人Bを懲役2年6月及び罰金100万円(執行猶予4年)に処した。