AI概要
【事案の概要】 被告人は、被害者(当時25歳)と交際する一方で、アルバイト先で知り合った別の女性Bとも交際し、結婚の話を進めていた。被害者は被告人とBの交際に気付き、Bに無言電話をかけるなどの妨害行動をとっていた。平成25年6月10日頃、被告人は東京都新宿区の被害者方において、殺意をもって、睡眠改善薬ドリエル(主成分ジフェンヒドラミン)を大量に摂取させ、ジフェンヒドラミン中毒又は頸部圧迫による窒息により被害者を死亡させた。被告人はその後、交際相手Bに指示してレンタカーを手配させ、被害者の遺体をB方に移して保管した後、約40日後に相模原市の墓地の土中に埋めて遺棄した。なお、被告人は以前にも被害者の長男Dの遺体を畑に埋めていたことが認定されている。本件は差戻後の第一審であり、東京地裁刑事第18部で審理された。 【争点】 被告人は「被害者を殺していない」と述べ、弁護人は被害者が自らドリエルを大量に摂取して自殺した可能性を主張した。具体的には、(1)被害者にはDの死亡や被告人との別れを苦にした自殺の動機があった、(2)ジフェンヒドラミンは苦く大量に飲ませることは困難、(3)市販薬による殺害計画は不確実で不自然、(4)遺体を約40日も放置した上で自身の祖母の墓地に遺棄する行動は計画的殺人と相容れない、(5)被告人が手帳の命日欄に被害者の名を記していたことは犯人の行動としてあり得ない、などと主張した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人が被害者の遺体を土中に埋めて死亡の事実を隠蔽したこと、被害者の死亡と同時期に用量を大幅に超える大量のドリエル96錠をBに購入させていたこと、犯行前日に遺体の保管・遺棄の準備行為(遺棄場所近くへの下見運転、遮光カーテンの購入)をしていたこと、さらに事件から約2年後に「殺人罪 逮捕 条件」「経過した犯罪 立証が難しい」などのインターネット検索をしていたことなどから、被告人が被害者を殺害したと認定した。殺害方法については、大量のドリエルを水に溶かして飲ませることは十分可能であり、中毒死しなかった場合には頸部圧迫による殺害も想定していたと認定した。動機は、Bとの交際の障害となる被害者を排除するためであり、身勝手な動機による計画的殺人と評価された。被告人が不合理な弁解に終始し反省の態度がないことも考慮し、被告人を懲役17年に処した。