AI概要
【事案の概要】 原告は、「Tibet Tiger」の文字を標準文字で表した商標(本願商標)について、第27類「じゅうたん、敷物、マット、ラグ、ヨガ用マット」等を指定商品として商標登録出願をした。これに対し、特許庁は、本願商標が商品の産地・販売地・品質を普通に表示するものにすぎず自他商品識別力を欠くとして商標法3条1項3号に該当し、また指定商品との関係で品質誤認のおそれがあるとして同法4条1項16号にも該当するとの理由で拒絶査定をした。原告は拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。 なお、チベットは伝統的にじゅうたんの著名な産地であり、チベット民族の手織りじゅうたんは「チベットじゅうたん」として世界4大じゅうたんの一つに数えられている。中でもトラの図柄を描いた製品は「チベタンタイガーラグ」等と称され、位の高い僧侶のために作られた格の高い文様として広く取引されている実情があった。 【争点】 (1) 本願商標の商標法3条1項3号(記述的商標)該当性 (2) 商標法3条2項(使用による識別力の獲得)の適用の可否 (3) 商標法4条1項16号(品質誤認のおそれ)該当性 【判旨】 請求棄却。裁判所は、以下の理由から本件審決に違法はないと判断した。 第一に、「Tibet」は「チベット」を、「Tiger」は「トラ」を意味する平易な英単語であり、いずれも我が国で一般に親しまれていることから、本願商標は全体として「チベットのトラ」との意味合いを容易に理解させるものと認定した。原告はチベットトラという亜種が存在しないことを主張したが、裁判所はこれが上記認定を妨げないとした。 第二に、取引の実情として、チベットはじゅうたんの著名な産地であり、トラ柄のチベットじゅうたんが「チベタンタイガーラグ」等として多数販売されている事実を認定し、本願商標は商品の産地又は販売地及び品質を表示するにとどまるとして、商標法3条1項3号該当性を肯定した。原告はインターネット情報の信用性を争ったが、原告自身が提出した証拠(ヤフオクでの取引実態)からも「チベタンタイガーラグ」が商品の一般名称として使用されていることが客観的に認められるとして退けた。 第三に、商標法3条2項については、原告が使用してきた標章は片仮名の「チベタンタイガー」であり、ローマ字の「Tibet Tiger」とは外観及び呼称が異なるため商標としての同一性が認められず、また使用期間・販売数量等の立証も不十分であるとして、識別力の獲得を否定した。 第四に、本願商標を産地がチベットでなくトラとも関係のないじゅうたん等に使用すれば品質誤認のおそれがあるとして、商標法4条1項16号該当性も肯定した。