議会決議取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関連団体であるUPF-Japan大阪支部の原告が、大阪市会及び富田林市議会がそれぞれ行った決議の取消しと国家賠償を求めた事案である。令和4年7月のA元内閣総理大臣銃撃事件を契機に、旧統一教会の霊感商法や高額献金の問題が社会問題化し、政治家と同教団との関係が広く問題視されるようになった。これを受け、富田林市議会は同年9月に「旧統一教会と富田林市議会との関係を根絶する決議」を、大阪市会は同年11月に「旧統一教会等の反社会的団体の活動とは一線を画する決議」をそれぞれ全会一致で可決した。原告は、これらの決議が行政処分に当たるとしてその取消しを求めるとともに、決議により請願権、思想良心の自由、信教の自由等が侵害され、名誉も毀損されたとして、各被告に対し各350万円の国家賠償を請求した。 【争点】 主な争点は、(1)各決議の処分性の有無(取消訴訟の適法性)、(2)各決議による請願権・思想良心の自由・信教の自由の侵害の有無、平等原則違反の有無、適正手続の保障違反の有無、(3)名誉毀損等を理由とする国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否であった。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をすべて退けた。まず、各決議はいずれも議会が法令上の権限に基づいてした議決ではなく、事実上の意思表明にすぎず、法的効果を伴うものではないから、行政事件訴訟法3条2項の処分には当たらないとして、取消訴訟を不適法却下した。次に、国家賠償請求について、各決議は法的効果を伴わず、原告の請願権を直接制限するものではないこと、紹介議員になるか否かは議員個人の判断であること、陳情書の提出等の代替手段があることから、請願権侵害を否定した。思想良心の自由・信教の自由の侵害、平等原則違反、適正手続の保障違反についても、各決議が法的効果を伴わない事実上の意思表明であることを理由にいずれも否定した。名誉毀損の主張に関しては、地方議会の決議の国賠法上の違法性について独自の判断枠組みを示し、議会が住民自治の原則の下で広範な権限を有する議事機関であることに照らし、議会が殊更に社会的評価を低下させるために決議をしたなど権限の逸脱・濫用があり、かつ議員が職務上の法的義務に違背した場合に限り違法となるとした。その上で、各決議は旧統一教会問題をめぐる社会的情勢、市民からの説明責任の要求等を踏まえた相応の合理性ある政治的判断であり、殊更に原告の社会的評価を低下させる目的でされたものとは認められないとして、国賠法上の違法性を否定し、請求を棄却した。