AI概要
【事案の概要】 原告ら(特許権者)は、「画像形成装置」に関する特許(特許第5756954号)を有していたところ、本件特許出願は原出願の分割出願であったが、分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内ではなく、分割要件違反を看過して特許査定がなされたため、本件特許には瑕疵が存在していた。原告らは、この瑕疵を治癒するため、明細書等を分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内に訂正することを求める訂正審判(訂正2023-390011号)を請求したが、特許庁は令和5年6月29日、訂正要件を満たさないとして請求不成立の審決をした。原告らは本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 主な争点は、特許法126条1項の解釈として、訂正審判における「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」の意義である。原告らは、同条項の文言は訂正に一切の制限を設けておらず、分割手続の瑕疵を治癒するための訂正も許容されると主張した。また、本件訂正を認めないことは特許法1条(発明の保護)に違反し、社会通念にも反すると主張した。これに対し被告(特許庁長官)は、訂正の目的は同条項ただし書の4つの目的要件に限定されており、本件判断対象訂正事項はいずれにも該当しないと反論した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、特許法126条1項にいう「願書に添付した明細書」又は「図面」とは、訂正審判請求時の特許明細書及び図面と解すべきであり、訂正の目的の要件を満たすか否かは、訂正審判請求時の明細書等と訂正後の明細書等とを対比して判断すべきであるとした。本件において、分割直前の出願明細書等と設定登録時明細書等との関係における分割手続の瑕疵は、特許法44条の適用における問題であり、設定登録時明細書等自体に明瞭でない記載があることや誤記・誤訳に当たることを意味するものではないとして、訂正の目的要件を満たさないと判断した。また、仮に分割要件を満たさないとしても、それ自体は特許の無効理由とはならず出願の遡及効が否定されるにとどまること、分割出願をしたのは原告ら自身であることを指摘し、社会通念に反するとの主張も退けた。