AI概要
【事案の概要】 被告人は、三女であるA(当時4歳)に対し、令和5年5月21日頃、津市内の被告人方において、布団の上に立っていた同児に対し、布団を左手で強く引っ張り上げて後方に転倒させ、その後頭部を床に打ち付けさせる暴行を加えた。さらに翌22日頃、同所において、高さ31センチメートルの机の上に立っていた同児の背中を右手で殴り、机の上から転落させ、その前額部等を床に打ち付けさせる暴行を加えた。これらの暴行により、同児は急性硬膜下血腫等の傷害を負い、同月26日、病院において脳ヘルニアにより死亡した。被告人は日頃から被害者を長女・二女と比べて差別的に扱い、ネグレクトや暴行を繰り返していた。被告人は発達の遅れを感じていた被害者の育児について悩みを抱え込んでいたというが、周囲に相談できる環境があったにもかかわらず何ら相談しなかった。 【判旨(量刑)】 懲役6年(求刑懲役8年)。裁判所は、犯行に至る経緯及び動機について、被害者の粗相等といっても些細なものであるにもかかわらず、育児が思い通りにいかないことへの苛立ちから安易に連日暴行に及んだものであり、身勝手かつ短絡的であると評価した。慕っていた母親から暴行を加えられ、頭を強く打ち付けて亡くなった被害者の精神的・肉体的苦痛は計り知れないとした。他方、本件各暴行はいずれも被害者を転倒させて頭を打ち付けさせる危険性のある行為であるが、頭部への打撃を目的とはしておらず、突発的・一回的なものであるとした。以上を考慮し、本件の犯情は、前科等のない親が単独で子に対し凶器等を用いず暴行を加えて死亡させた児童虐待1件の同種事案の中で、中程度からやや軽い部類に位置付けられるとした。被告人が事実を認めて反省の言葉を述べていること、被告人の母親が社会復帰後の身元引受及び雇用等を約束していること、長女及び二女が被告人の早期帰還を願っていることを有利な事情として考慮し、懲役6年が相当と判断した。