AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社田中箸店)は、「田中箸店」の文字を標準文字で表してなる商標について、第8類「スプーン、フォーク及び洋食ナイフ」及び第21類「台所用品」を指定商品として商標登録出願をしたところ、拒絶査定を受けた。原告は拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は「田中」がありふれた氏であり、「箸店」が箸を取り扱う店の業種を表すものであるため、本願商標は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できないとして、商標法3条1項6号に該当するとの審決をした。原告はこの審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に提訴した。 【争点】 本願商標「田中箸店」が商標法3条1項6号(需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標)に該当するか。具体的には、(1)「田中」と「箸店」の組合せが自他商品識別力を有するか、(2)原告の販売実績やメディア掲載等により使用による識別力(特別顕著性)を獲得したといえるか、(3)審決が同項4号(ありふれた名称)の該当性を判断せずに6号を適用したことが違法か、が争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、「田中」が全国順位4位のありふれた氏であり、「箸店」は箸を取り扱う店を意味する語として広く店舗名や商号の一部に使用されていることから、本願商標は「田中」姓を有する者が経営する箸の店というありふれた名称を普通に表示したものにすぎず、原則として自他商品識別力を有しないと判断した。原告が主張する一体不可分性については、一連一体の商標であっても個々の構成部分の意味を検討するプロセスは否定されないとして退けた。販売実績等に基づく識別力の獲得についても、楽天・アマゾン等での売上は本願商標が商品に付されていたか等の使用態様が不明であること、メディア掲載においても商品には「ダイエット応援箸」等の商品名が大書される一方で本願商標の使用は確認できないこと、柴犬メディアのスポンサー期間も1か月未満で閲覧数も8000回にとどまること等から、特段の事情は認められないとした。3条1項4号の判断を経ずに6号を適用した点についても、実質的な議論は尽くされており原告の防御に欠けるところはないとして、審決を取り消すべき瑕疵には当たらないと結論づけた。