銃砲刀剣類所持等取締法違反、殺人、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
判決データ
- 事件番号
- 令和3う273
- 事件名
- 銃砲刀剣類所持等取締法違反、殺人、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
- 裁判所
- 福岡高等裁判所
- 裁判年月日
- 2024年3月12日
- 原審裁判所
- 福岡地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、指定暴力団の五代目甲1會の総裁である被告人Xと、同會会長である被告人Yが、共謀共同正犯として起訴された4つの事件に関する控訴審判決である。具体的には、(1)平成10年2月、北九州市内でi漁協の元組合長が拳銃で射殺された元組合長事件(殺人・拳銃発射)、(2)平成24年4月、同會の捜査を担当していた元警察官が拳銃で撃たれ負傷した元警察官事件(組織的殺人未遂等)、(3)平成25年1月、被告人Xの担当看護師が刃物で刺され負傷した看護師事件(組織的殺人未遂)、(4)平成26年5月、元組合長の孫である歯科医師が刃物で刺され負傷した歯科医師事件(組織的殺人未遂等)である。原審は、被告人X及びYの両名について全事件で有罪とし、被告人Xに死刑、被告人Yに無期懲役等を科した。被告人両名は全事件について共謀等の事実を争い無罪を主張して控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)本件3事件(元警察官・看護師・歯科医師事件)における被告人両名の殺意及び共謀の有無、(2)元組合長事件における被告人両名の共謀の有無、(3)五代目甲1會における意思決定の在り方と被告人Xの実質的な関与の有無である。弁護人は、被告人Xについては全事件で共謀を否認し、被告人Yについては元警察官事件等で共謀を否認するとともに、看護師・歯科医師事件では傷害の限度での共謀を主張した。当審では、元組合長事件の実行犯B1の証人尋問が実施され、B1は自分が実行犯であることを認める証言をした。 【判旨(量刑)】 控訴審は、本件3事件については、一部に誤りや不合理な説示があるものの、被告人両名の殺意及び共謀を認めた結論に誤りはないと判断した。しかし、元組合長事件については、被告人Yの共謀は認められるものの、被告人Xの共謀を認めた原判決の判断は論理則・経験則等に照らし是認できず破棄を免れないと判断した。具体的には、三代目甲3組の意思決定の在り方が記録上不明であり、B3ら三次団体組長間に上下関係がなかったとする事実認定に誤りがあるなど、被告人Xの共謀を推認させる力に乏しいとした。その結果、被告人Xに関する原判決部分を破棄し、元組合長事件の殺人・銃刀法違反について無罪とした上で、本件3事件のみで被告人Xを無期懲役に処した(未決勾留日数900日算入)。被告人Yについては控訴を棄却した(未決勾留日数700日算入)。量刑理由として、本件3事件はいずれも暴力団が組織として入念な準備の上で市民を標的に襲撃した組織的・計画的で大胆な犯行であり、反社会性の著しい犯行であること、被告人Xは甲1會の実質的最上位者として指揮命令し実行させたこと、関与を否認し不合理な弁解に終始していることなどを指摘した。