商標登録取消決定取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社IBS Trading)は、イタリアの法人であるハキハナ社(Haqihana)の犬用ハーネス・引きひもの日本における販売代理店であった。原告は平成30年にハキハナ社と販売契約を締結し、広告宣伝や包装の工夫等により日本での売上げを大きく伸ばした。しかし、ハキハナ社が原告以外にもサビーネという販売代理店と契約を締結していたことが判明し、さらに合同会社アブレイズが楽天市場で本件商品を無断販売するようになった。原告はハキハナ社にアブレイズへの対応や独占契約の締結を繰り返し求めたが、同社は「市場は自由であり誰も守る必要がない」として拒絶した。そこで原告は令和4年7月25日、「Haqihana」の文字からなる商標(第18類「愛玩動物用引きひも、愛玩動物用のハーネス」)について商標登録出願を行い、同年9月30日に設定登録を受けた。これに対しハキハナ社が登録異議を申し立て、特許庁は令和5年9月1日、本件商標は商標法4条1項7号に該当するとして登録取消決定をした。原告がこの決定の取消しを求めて本件訴えを提起した。 【争点】 (1) 商標法4条1項7号(公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標)該当性に関する判断の誤りの有無 (2) 本件決定における判断の遺脱又は審理不尽の有無 【判旨】 請求棄却。裁判所は、原告がハキハナ社の販売代理店として同社商品に引用商標が使用されていることを認識しながら、引用商標と構成文字を共通にする本件商標の登録出願を、ハキハナ社に一切知らせることなく秘密裏に行ったと認定した。原告は出願の目的がアブレイズへの対応であると主張したが、裁判所は、そうであればハキハナ社に隠す理由はなく、むしろ本件商標の登録出願はアブレイズへの対応にとどまらず、将来的に並行輸入等で入手したハキハナ社商品を日本国内で販売しようとする者の販売活動を妨害・阻止することにも主たる目的があったと判断した。また、原告が商標権のハキハナ社への譲渡意図がなかったとの主張についても、登録後のやり取りにおいて原告が自らの貢献に報いる契約条件や待遇を求めてハキハナ社に迫る内容であったことから、譲渡しない意向であったと認定した。以上を総合し、本件商標の登録出願は商標法の目的に反し公正な商標秩序を乱すものであって、商標法4条1項7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当すると結論づけた。審理不尽の主張についても、書面審理は審判合議体の裁量権の範囲内であり、手続上の違法はないとして排斥した。