AI概要
【事案の概要】 本件は、「セレコキシブ組成物」と題する特許(特許第4953797号)に対する特許無効審判の審決取消訴訟である。後発医薬品メーカー5社(テバ・ホールディングス、東和薬品、日医工、第一三共エスファ、沢井製薬)が原告として、特許権者である被告に対し審決の取消しを求めた。本件特許は、非ステロイド性抗炎症薬であるセレコキシブの経口送達のための低用量組成物に関し、セレコキシブ粒子の特定の粒径分布(D90が約200μm以下等)やピンミルによる粉砕を特徴とするものである。特許庁は、訂正を認めた上で無効審判請求を不成立とする審決をした。先行する第1次審決取消訴訟(前訴)では、サポート要件違反を理由に第1次審決が取り消されていた。本件では、前訴判決の拘束力の範囲が問題となるとともに、訂正要件、サポート要件、明確性要件、実施可能要件及び進歩性欠如の各取消事由が主張された。 【争点】 (1) 取消事由1:訂正要件に関する判断の誤り (2) 取消事由2:サポート要件に関する判断の誤り(前訴判決の拘束力との関係) (3) 取消事由3:明確性要件に関する判断の誤り (4) 取消事由4:実施可能要件に関する判断の誤り (5) 取消事由5:進歩性の判断の誤り 【判旨】 知的財産高等裁判所第4部は、取消事由3(明確性要件違反)に理由があるとして、本件審決中の請求項1、2、4、5、7〜13、15、17〜19に係る部分を取り消した。取消事由1(訂正要件)については、本件訂正が新規事項を追加するものでないとした審決の判断に誤りはないとした。取消事由2(サポート要件)については、前訴判決の拘束力の範囲を詳細に検討し、前訴判決がサポート要件違反を認めた判断の拘束力は再度の審判手続にも及ぶが、本件訂正によりピンミル構成の限定が加えられたことで前訴判決の判断とは前提が異なるとした上で、訂正後の発明についてサポート要件を充足するとした審決の結論に誤りはないと判断した。取消事由3(明確性要件)について、裁判所は、本件訂正発明の「粒子」の意義を検討し、本件明細書の記載からは「粒子」が一次粒子を意味するのか、一次粒子が凝集した二次粒子等を含むのかが一義的に明確でないと認定した。「D90が約200μm以下」等の粒径に関する発明特定事項は、測定方法によって測定対象の粒子が異なり得るため、「粒子」の意義が不明確である以上、発明特定事項も不明確であるとして、明確性要件(特許法36条6項2号)に違反すると判断した。取消事由3に理由があることから、取消事由4及び5については判断するまでもなく、審決を取り消した。